シャンチー(象棋)実戦で生まれた局面【中局】

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今回はシャンチー(象棋)仲間の楊帆選手に実戦で生まれた中局についての記事を提供して頂きました。 

この局面は日本選手権での井上選手との対局で生まれたものだそうです。 

局面分析1

これは、今年の日本選手権の私の対局で生まれた局面です。  

黒は馬を一つ捨てることで、右側に車炮馬を集中して、攻撃するチャンスを得ました。 この局面の黒の攻撃方法は一見簡単そうに見えますが、実は多くの複雑な攻防の変化があります。 まず実戦の展開を見てみます。  

1.。。。。。。  車3進5    2.馬八退六 車3退1  

3.馬六進八  

車3平2 ここで黒はコマを取り戻しました。そして車馬炮のコマが右側に集中し、有利な局面になりました。

黒の一手目の進車のジャンは炮と合わせてよく使われる攻撃方法です。 

この手はこの形を見たとき、まず頭に思い浮かべる手です。 

しかし、今の局面では、紅には守る方法があります。 

(実戦と同じように進め、3回合で紅が変化します)

3.相五退七 車3進1   4.兵五進一 馬1進3  

4回合で黒が車3退1と指しても車3退3と指しても、紅は馬六進五と指せば、黒はコマを取ることが出来ません。  

5.車三平八 馬3進4   6.車八進六 象5退3  

6.炮六進一 炮2平1   8.車八退五 馬4退3  

8回合で黒がもし車3退3と指すと、紅は馬六進五で黒の馬を取ることが出来ます。 

9.車八進五 象7進5  10.馬三進四 車3退3  

11.車八退九 車3平1 12.馬四退五 馬3進2  

13.馬五退七

このように進むと黒の炮の攻撃はなくなり、紅が十分な局面です。

上記の手順を見ると、紅にとって、3回合の相五退七(黒が馬を取り戻すことが出来ない)と4回合の兵五進一(紅の車が左側へ防衛の補助に行ける)が正しい防衛の重要なポイントの手です。

局面分析2

では、そもそもこの局面が黒にとって有利ではないのか?

と言う疑問が生まれます。

…やはり正しい攻撃方法を見つけることが出来れば、黒は有利になります。

1.。。。。。。  馬1進3    2.車三進三 車3進5  

2回合の時、紅は前のように、兵五進一と指すことが出来ません。

黒に車3進5と車3退3で紅の車を取る手があるためです。その違いは、実際に並べて見てみて下さい。それにより、紅の車の左側への援助が遅くなります。

3.馬八退六 車3退1    4.相五退七 車3進1

5.車三平五 馬3進2

この局面で、紅は車五平八で黒の炮を追う手がなくなりました。続けて車五退二馬2進3と進むと、黒がほぼ絶殺です。

では、2回合で紅が車三進一と指すのはどうでしょうか?

2.車三進一 車3進5    3.馬八退六 車3退1

4.相五退七 車3進1    

この時も同様に、紅は車三平八と指すことが出来ません。そして次に黒は車3退4で紅の車が取られます。 この続きの変化を見てみます。

(二つの変化があります)

A.

5.車三平四 卒7進1    6.相三進一 車3退1

7.馬六進五 車3進1    8.士五退六 馬3進4

この局面では、おそらく紅は仕方なく黒の馬を取ると考えられます。そのように進むと黒が紅の車を取り、優勢になります。

B.

5.車三平九 車3退4    6.馬六進五 馬3進2

次に黒は車3進4、馬2進3の手順で、殺法のかたちになります。

【まとめ】

車馬炮の連合攻撃はシャンチーによくある場面です。

兵力がそろっているため、攻撃の威力があります。特に相手の士と相の空いている方にコマを集中させることが出来ればとても優勢です。

しかし優勢であっても、正しく攻撃しなければいけません。コマを動かす順番や馬の進行ルートなど、いろいろ考えることがあります。

おわり

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