(上の写真は開会式の様子です)
四川省で開催された「2019年グローバルシャンチー(象棋)ペアトーナメント」に参加してきました。
日本からは所司和晴選手と私(中村千鶴)が参加させて頂きました。
ペアトーナメントは今回で3回目の開催になりますが、前回や前々回に引き続き、とても規模の大きいシャンチーのイベントでした。メディアの取材も非常に多く、四川省でのシャンチーの愛好者の多さも実感しました。
今回の記事では四川省のペアトーナメントの様子や感想などをお伝えして行きたいなと思います。
大会の様子
○開会式
今回の試合は上海の葛維蒲さん(左の左、左の右は薛忠さん)が審判院長を務めました!
葛さんのお嬢さんと以前から仲良くさせて頂いているため、葛さんにもご飯をごちそうになる機会が以前からあり、とても親切にして頂いています!四川の後に私が上海で参加した試合も葛さんが審判員長だったので安心して参加することが出来ました。やはり私は上海の人がいると安心出来るようです(笑)。ペアトーナメントも葛さんが来ているのを知りとても気持ちがリラックスしました!
また、右の写真(右の右)は世界シャンチー聯合主席の霍震霆さんです。
開会式で行われた抽選の様子です。
この写真はとても重要です…。私の持っている15番と所司先生の16番・・・。この抽選により、1ラウンド目が日本同士の対局になりました( ;∀;)私はしばらくそのことに気付かずにいたのですが、夜厦門の鄭一泓さんから、「1ラウンドから所司先生とだね…。頑張って!」とメールが来たのを見て、「え~???」となりました。
○試合の様子
日本で練習をした時は、2人で指すと若干時計が見にくかったり、盤が遠く感じて指しずらかった(見えずらい?)のですが、今回試合で使われた盤はとても大きく見やすかったので安心しました。
いつも試合に参加しても自分の写真はあまりないのですが、今回は知り合いの記者が多くいたため色々な方に写真を頂くことが出来ました。おかげで思い出の写真がいっぱいです(*´▽`*)
○NC/NV選手による多面差しイベントの様子
(左はベラルーシのPetr Paulovich選手、右はマレーシアの安華選手)
(左はベラルーシのセルゲイ選手、右は日本の所司選手)
私はこのイベント中は四川省の特級大師、鄭惟桐さんに成都棋院の案内をして頂いていました。(その様子も今度簡単に記事にします!)
○普及イベントの様子
子供たちのパンダのパフォーマンスは期待以上に素晴らしかったです(私はあんなに踊れません…笑)。
またステージ上のインタビューでは「シャンチーの好きなコマは何?」と聞かれました。私は「辺馬の位置にはねた馬」と言ったところ、「なんで?」と聞かれ、「相に守られているので安全で安心」と言ったところ、わりとみんなにウケました(別にウケ狙いで言ったわけではないのですが…)。そして次の日の試合で「正馬」にはねるか「辺馬」にはねるか長考して「辺馬」にはねた試合があったのですが、局後の検討で相手の中国選手に「昨日のインタビューで辺馬好きって言っていたから、ここでは絶対に辺馬にはねると思ったよ」と言われました(笑)←インタビューのおかげで色々ダダ漏れ(笑)。
外でのイベントでの、参加している中国の大師勢大集合の様子です。
思い出の写真
四川省滞在中のお気に入りの写真を紹介します。
○抽選を並んでいる様子
所司先生ととても仲良しそうに写っているので、とてもお気に入りです。
○ペアの李少庚さんとの2ショット
この写真は知り合いの記者の方にもらったのですが、何だか楽しそうなので気に入っています。
○観光中の1枚
ただ疲れて座っていただけなのですが、とても爽やかな写真になりました(*’▽’)
○フィンランド選手との記念写真
Petriさん(左)とMikkoさん(右)とはとても仲良くさせて頂きました!2人とも少し日本語を話すことが出来、とても優しいので話していてとても楽しかったです(^○^)
○試合中の写真
この写真は、私だけではなくて李さんも考えている様子なので、2人で頑張った感じがあり、とても気に入っています(*´▽`*)
この対局はとても複雑な局面の試合になりました。あまりに局面が難しすぎて、試合中に何度か考えることを放棄したくなりました(考えても、考えても分からない…)。4人のうち、私だけがこんなに局面の把握を出来ていないのかな?と思い、試合中「どうしよう。どうしよう。全然分からない。どうしよう…。」と思っていました。しかし、ある局面あたりから私のペアの李さんの番で、李さんも一手一手考えるようになりました(ほとんどの試合で、李さんは私に多くの時間を残すため、自分は時間を使わずに指していました)。そこで、「良かった、李さんも考えている。この局面はやっぱり難しいんだ!」と安心し、少しやる気が出ました!
試合の感想
今回はじめてペアトーナメントに参加させて頂き、改めてこの試合がとても勉強になるものだと言うことを感じました。
私と李さんのペアは使う開局の話しのすり合わせを簡単にしただけで、試合の準備に使った時間はほとんどありませんでした。しかし、試合後の復盤はとても丁寧に行いました。李さんの指した手の意味や、試合の開局で最近流行している変化、また昔流行していた変化、またその他一手一手を丁寧に教えて頂きました。とくに李さんの指した手の意味を理解することは、試合中の局面をどのように発展させてゆくかと言うことを考える上でとても勉強になりました。そのほかにも李さんが昔どのように勉強をしてきたのか、等のお話もとても参考になりました。
中国のトーナメント形式の試合で勝敗を付けるため最終的に、紅6分+5秒、黒4分+5秒の試合をし、引き分けなら黒の勝ちと言う試合が指されますが、プロのレベルではどちらが良いのかな?と言う疑問を持っていました。それも聞いてみたところ「黒を指せることの方が嬉しいです」とはっきりと回答され、私の長年の疑問が解消されました。プロのレベルだと引き分けを取る方が楽だとのことでした。
試合の全体的な総括は、結果はあまり良くないのかもしれませんが非常に充実しており、内容としてはとても満足しています。
1ラウンド目は運良く勝つことができ、2~4ラウンド目は全て引き分けでした。
ただ、3ラウンド目の鄭惟桐選手と安華選手の試合は少し残局で苦戦しました。局後の検討でも、「このような残局は1人で指せば指しやすいですが、思考の異なる2人が交互に指すのはとても難しいです」と鄭さんも仰っており、その通りに、平穏に見えてとても難しい中残局の試合でした。
この鄭さんペアとの3ラウンド目は、私たちは後手番でした。その場合、私が指した後に相手のプロの手番になります。つまり、私が指すと1秒で鄭惟桐選手が最善手を指してくるのです。これは本当に大変でした。先手の場合は私が仮に弱い手を指しても次がNC/NVプレーヤーなので、運よく私の手を咎めに来なければペアの李さんがリカバリーしてくれます。しかし、後手番だと一手でボロボロになる可能性があるので、本当に緊張しました。
その後、5ラウンド目から、崩れて行ってしまいました。
理由は自分の台にライブ中継のカメラが設置されていたためです。試合前にカメラを発見し、とても緊張してしまいました。そして、わけの分からない手を連続で出し、ボロボロになってしまいました。これは本当に残念でした。しかしカメラ慣れするのはやはり重要だなと思うので、今後のための良い経験になりました。
5ラウンド目のボロボロに引き続き6ラウンド目も負けてしまいましたが、内容はとても学べるものでした(5ラウンド目の気持ちを引きずってコンディションが崩れたわけではなかったので良かったです)。この試合は本当に中残局の棋力で負けた試合だったため、一手一手復盤する価値のある試合でした。6ラウンド目は前半で時間を使いすぎ、後半の重要なところで時間がなくなってしまったのはとても大変でした。
最終局は勝てば他の人の成績によってまだ入賞の可能性があり、引き分けと負けならほとんど順位の変わらない試合でした。そのため試合中にルール的に必ず引き分けの局面がありましたが(そこで引き分けにすればこちら優勢の引き分け、ここで引き分けにしないと向こう優勢な残局勝負)、向こうが優勢になることは分かりましたが、もう少し指し続けることにしました。結果は負けてしまいましたが、この試合の残局の局面は今でも鮮明に覚えており、防衛戦の残局として本当に学べることの多い試合になりました。そう言った意味で、引き分けにせずに指し続けたことは正しい選択だったと思います。
今回の試合で使った布局を振り替えると、先手では中炮を採用し、それに対して反宮馬、屏風馬、列手炮を指されました。また、後手番では士角炮、過宮炮、飛相局、中炮を指され、全て異なる開局の試合でした。そのため復盤を通じて幅広い開局を勉強することが出来ました。これは本当に良い経験でした。
全体の感想としては本当に李少庚選手とのペアはとても指しやすく、また学べることの多いペアだったと思います。中国の甲級リーグで活躍されている選手のレベルはとても高く、布局の幅もとても広いのだなと思いました。また局面の分析方法などもとても参考になりました。
本当に勉強になる試合でした(^^)
○おわりに
優勝した邱亮選手・趙鑫鑫選手、本当におめでとうございます!
また、試合に参加する前に一緒にペアトーナメントの練習をしてくれたチームメンバーのみなさん、本当にありがとうございます!(*´▽`*)
おわり
○大会参加者の紹介記事
○表彰式の様子
○いきなりのインタビューでしたが、紹介して頂きました!
○知り合いの記者に所司先生との対局の感想を聞かれたのですが、それが日記として記事になりました。
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