中華台北象棋協会との交流大会がありました!
今回は交流大会の所司先生の一局をご本人の評注入りで紹介させて頂きます!
試合について
○開催日:2021年4月24-25日
○試合方法:6対6の総当たり戦
(ルール等は天天象棋のルールを採用)
○持ち時間:30分+10秒(一歩5分以内に指す)
○結果:台湾チームの勝ち
感想:今回の台湾選手はだいたい知っている方だったので、棋力はある程度想定内だったのですが…、結果は想定以上にポイントをとることが出来ませんでした…;;内容はあと一歩の対局が多かったようですが、惜しくもポイントにはつながりませんでした。台湾選手はとても粘り強い指し方をされる選手が多く、優勢でも勝たせてくれない、また向こうが優勢の時にも引き分けにさせないと言った感じの対局が多く、経験値の違いを感じました…;チームポイントがとれずに負けてしまったので、レベル的にも差があったな…と感じます。ただ、どの対局もゆっくり検討する価値のあるものだったので、選手の皆さんが大会を通じて得たものは多くあるのではないかな~と思いました(*´ω`)
また是非台湾チームと交流会をしたいな~と思います!!
その時はチームポイントをとれるように頑張ります!!
棋譜紹介
中華台北象棋協会との団体対抗戦の4回戦、陳冠宏選手との対局評注です。
台湾との団体対抗戦は初めてです。
台湾には以前はよく将棋とシャンチーの両方を兼ねて交流に行ってましたので、楽しみにしていました。
今回は持ち時間を30分+10秒として1日3局の形です。
持ち時間は大変だなと感じましたが、台湾選手も結構時間を使われる方もいらっしゃいました。
私は、1日目はいい内容もありましたが、皆さん強くて3連敗でした。
2日目はなんとかポイントを取りに行きたい気持ちでした。
紅方:所司和晴
黒方:陳冠宏
結果:引き分け
1. 相三進五 象3進5 2. 兵七進一 卒7進1
3. 馬八進七 馬8進7 4. 車九進一 車9進1
5. 車九平三 馬2進4 6. 兵三進一 馬4進6
7. 馬七進六 (第1図)
私の紅方で飛相局にしました。逆象局ですが、対兵局のよくある布局です。
馬七進六(第1図)まで、私は指し慣れた形です。
陳選手はここで結構考えられました。
私としては経験豊富な布局になり、いいペースです。
7.・・・・・ 卒7進1 8. 馬六進五 馬6進7
第1図で卒7進1から馬6進7はありがたかったです。
これなら車の働きが良く、右馬もスムーズに跳ねることが出来ました。
兵得で駒の働きも良いので、1兵半ぐらい紅方有利でしょうか。
9. 馬五退三 象5進7 10. 車三進三 象7進5
11. 馬二進三 炮2平4 12. 仕四進五 車1平2
13. 炮八平九 車9平6 14. 炮九進四 炮8進2
15. 車三平六 士4進5 16. 馬三進四 車2進3
17. 炮九退二 炮8進1 18. 馬四進三 車6進2(第2図)
いろいろな選択がありましたが、順調に紅方有利で進んでいます。
第18回合の馬四進三でもいろいろあるところで、いったんは車六進二として車2進2に馬四進三の方が第2図の車6進2を与えないで勝ったでしょうか。
次に車六平七と卒も取りやすくなっています。
19. 炮二平三 炮8平7 20. 車六平三 車6平7
第2図から炮二平三としたとき炮8平7が面白い手でした。
この手で平凡に炮が逃げるのは車一平四で車交換して、馬三退五などで馬が働きやすくなるので良いと思っていました。
実戦の進行は紅方有利が続きますが、黒方も引き分け狙いで粘り強く対抗します。
21. 兵五進一 車2進1 22. 車一平四 車7平4
23. 車四進三 車4進1 24. 車三平四 卒3進1
25. 兵七進一 車4平3 26. 前車進二 車3平6(第3図)
車交換を挑まれた第3図はどちらで取るか迷いますが、三段目の車を残した方が良いと判断しました。
27. 前車退一 馬7進6 28. 炮三平一 馬6退7
29. 車四平五 象5退7 30. 炮一平三 象7退9
31. 兵五進一 炮4平5 32. 車五平三 馬7進8
順調に紅方有利で進んでいますが、兵五進一を急がない案もあったと思います。例えば炮九進五と様子を見ておく手などです。
持ち時間はこちらの方が多かったので、手を渡す方が面白かったかもです。
33. 車三進二 馬8進9 34. 炮三退二 将5平4
流れが激しくなってきましたが、車三進二で中兵が維持できるので大丈夫と見ていました。
35. 車三退二 馬9退8 36. 車三平六 将4平5
37. 兵五進一 馬8進6 (第4図)
第4図の馬8進6の反撃がさすがで、第4図で車六進三と中兵を維持しようとすると馬6進8がいったん殺で逆転します。
38. 車六平七 馬6退5 39. 炮九進五 馬5進3
40. 炮三進六 炮5平3 41. 車七平三 車2進2
42. 炮三平五 象7進5 43. 車三平八 馬3進2
44. 炮五退三 (第5図)
車六平七で兵を見捨てるのは正解ですが、炮九進五が痛恨でした。
お互い持ち時間は少なくなっていましたが、相手の方がより少なく、これで次の一手が難しいと思いましたら、平凡な馬5進3を見落とししていました。
炮九進五と指したところでは車七進六、士5退4、炮九進五で勝負すべきでした。
ただそれでも引き分けになる可能性は高いとは思います。
陳選手の決め手を与えない粘り強さで、とうとうミスを出してしまいました。
ここからは逆に紅方は引き分けがやっとです。
お互い時間がない第5図で、陳選手から引き分けの提案があり受け入れました。
第5図は馬炮の陳選手の方が動きやすいですが、ミスがなければ引き分けの場面です。
今回の団体交流戦は私の方は本局のみの引き分けで、勝利なしで残念な結果でした。
しかしさすが本場の台湾はレベルが高ないと改めて感じました。
チーム全体でもポイントは取れませんでしたがすばらしい熱戦が多く、これからの日本チームには大いに期待ですし私もがんばります。
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