第4回上海杯海外組インターネット大会の棋譜紹介【所司和晴選手対楊添任選手】

実戦譜を見る

第4回上海杯海外組の棋譜を紹介します。

上海杯の海外組大会はインターネット大会として9月18日~9月20日にかけて開催されました。

日本からは、可児宏暉選手、田中篤選手、所司和晴選手が参加されました。

今回は所司和晴選手の第1ラウンドの楊添任選手との棋譜を所司選手の解説付きでご紹介させて頂きます!

皆さま、是非お楽しみ下さい^^

棋譜紹介

上海杯海外組(インターネット大会)の1回戦を解説します。

相手の楊添任選手はマレーシアで有名な強豪の1人です。

日期: 2024.9.18

紅方: 所司和晴

黑方: 楊添任(マレーシア)

結果:黒方勝ち

   1. 相三進五  馬2進3     2. 兵七進一  炮8平5

   3. 馬二進三  馬8進7     4. 馬八進七  車9平8

   5. 車一平二  車8進4     6. 炮二平一  車8進5

   7. 馬三退二  卒5進1   (第1図)

図1

私はいつも愛用している飛相局で挑みました。

右起馬局から左中炮もある程度多い開局の1つです。

その後最も多い布局に進んでいきますが、第1図の卒5進1がやや少ない手です。

普通は車1進1が先ですが、結局同じに戻ることもあります。

  8. 馬二進三  車1進1  9. 車九進一  車1平8   

10. 馬七進六  卒5進1  11. 兵五進一  炮2進3

(第2図)

図2

私の方は第1図で車九進一や馬二進四も考えられますが、無難な馬二進三を選択しました。これが中央を厚くするなら最も自然です。

しかしそこで車1進1とされ、次に車1平8が先手となります。

こちらの車九進一は調べると炮八平九の方が多かったようです。

他には兵三進一もあります。

車1平8の場面で、何か指した経験があった場面に感じましたが、実戦例は炮一退一と先受けしています。

この順は私が黒方をもって昔、国際大会でも戦っていました。

しかし私は馬七進六の方が良いかなと思いましたし、ソフトの推奨手でした。

ノータイムで卒5進1、兵五進一まで進み、ようやく楊選手は考えました。

普通は馬3進5と馬7進5で考えられていると思いましたが、炮2進3(第2図)です。

確かにこれも有力な手で、考える局面を心得ているなと感じました。

12. 馬六進七  炮2平5   13. 仕六進五  車8進5  

 14. 車九平六  車8平7    15. 馬七進五  象7進5 

 16. 車六進三  炮5退1 17. 車六平五  炮5平7  

 18. 車五退一(第3図)

図3

 黒方の動きとしては、結果としては車8進6から車8平7は今一つだったでしょうか。

私の方は馬七進五の交換では車六進六でリードできるようにも感じていました。

結局相手は強いので、コマ交換で無難な順を選びました。

最善は逃していますが、有利は持続です。

第3図の車五退一が読めていたので、コマ交換からは読み通り進み、相手もここで考えました。

 18.・・・ 車7平5   19. 馬三進五  馬3進2 

  20. 炮八進二  卒1進1  21. 馬五進四  士6進5   

22. 炮一平三  馬7進5 23. 炮三進四  馬2退3   

24. 馬四進六  馬3進4 25. 炮八退三  馬5進6  

26. 炮三平二  馬4進3  27. 炮八平九  馬6進8   

28. 炮二平四  馬3進2 29. 馬六進七  将5平6   

30. 馬七退六  将6平5  31. 馬六進七  将5平6   

32. 馬七退六  将6進1 (第4図)

図4

車交換となって局面は緩やかですが、コマの配置が良く紅方十分です。その後兵1枚得しましたので、有利を持続です。

ただ馬馬炮対馬炮炮の残局(終盤)はわずかに馬馬炮が指せる面もあり、持ち時間が少ない中緊張した局面が続きます。

私がやや有利ですが相手は強く、持ち時間も少ないので、馬七退六から馬六進七で引き分けを目指します。

相手は持ち時間に差があるので、将6進1(第4図)で手を変えました。

  33. 炮四退四  士5進4    34. 馬六退五  炮7平5

  35. 炮四退一  馬8進7    36. 炮九進四  馬2退1

  37. 炮九平六  将6平5    38. 炮六進四  将5退1

  39. 炮六退一  馬1退2    40. 炮六平三  馬2退4

  41. 馬五退六  馬4進6    42. 炮三退四  士4退5

  43. 炮三平四  馬6進8    44. 馬六進五  馬8進7

  45. 前炮進二  後馬退9    46. 前炮平六  馬9退8

  47. 兵七進一  馬8退6    48. 馬五退七  炮5平9

  49. 仕五進四  馬6進8    50. 馬七進五  馬7退9

  51. 兵七進一  馬9退7    52. 馬五退三  馬8進7

(第5図)

図5

長い戦いで、紅方十分な形勢が続きますが、1つ兵を失いました。

しかし士を1つ削っていますので悪くありません。

ずっと5秒以内なので無我夢中ですが、47着目紅方兵七進一で安心のようですが、炮四平九などとしている方が正しかったです。

馬9退7は相手からコマ交換でありがたいようですが、こちらは種類が同じになるので、形勢は互角になって来ています。

  53. 炮四平一  炮9平2    54. 炮一平八  卒9進1

  55. 仕四進五  卒9進1    56. 炮六退六  卒9平8

  57. 炮八進三  馬7退6    58. 炮八平四  馬6進4

  59. 兵七平六  馬4進2    60. 炮四平八  馬2進3

  61. 炮六進一  卒8進1    62. 帥五平四  卒8平7

  63. 帥四平五  卒7平6    64. 帥五平四  炮2平6

  65. 帥四平五  卒6平5    66. 相五進七  卒5平4

  67. 相七進九  象3進1    68. 炮八退三  炮6平2

  69. 帥五平四  炮2平6    70. 帥四平五  卒4平3

  71. 炮八進三  卒3平2    72. 帥五平六  馬3退1

  73. 炮八進一  炮6平3    74. 帥六平五  馬1進3

  75. 帥五平四  卒2平3    76. 兵六平五  象5退3

  77. 炮八退五  炮3平6    78. 帥四平五  卒3平2

  79. 炮八進一  士5退4    80. 炮八平九  馬3退4

  81. 炮九進四  炮6平2    82. 帥五平四  馬4退6

  83. 兵五平四  炮2平5 時間切れ

72着目紅方帥五平六が痛恨でした。

相九退七で問題なしです。

相が欠けたことで神経使うことになり、時間切れの可能性が高まり、84着前にとうとう時間切れにしてしまいました。

本局の結果は残念だったですが、ベストを尽くしたいい内容が指せました。

最終結果は3勝4敗でした。自分の力的にはこのあたりの成績は満足です。
今後の大会に向けてもいい経験をしました。

おまけ

上海杯は海外組以外にもプロ組やアマチュア組などがあります。

プロ組みでは呂欽選手(男子)、王琳娜選手(女子)が優勝されました!

中国国内のプロ組みはオンラインではなく、嘉定区南翔(上海)で開催されました。

大会の様子などにご興味のある方はこちらに写真が掲載されていますのでご覧ください(*´▽`*)

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