シャンチー(象棋)の世界ルール・用語解説

このページではシャンチー(象棋・中国将棋)の世界ルール(世界象棋規則)の基本とルールに関連する用語の簡単な解説をさせて頂きます。

シャンチーには中国国内で採用されているルールと国際大会などで採用されている世界ルールがあります。ここではシャンチーの世界ルールを紹介します。

世界ルール基本知識

ここでは世界ルールの基本棋例を紹介します。

世界ルールではこの棋例を基本として様々な状況を考えて行きます。

【棋例】

1、どのような状況にであっても、一方が長将をかけると負けになります。また双方が長将をかけあっている場合は引き分けになります。

2、長殺、一将一殺、一将一捉、 一将 一停、 一将一要抽吃、一捉一要抽吃はお互いに手を変えない場合引き分けになります。

3、一つのコマで一つのコマに長捉をかけると負けになります。(ただし、河を渡っていない兵卒に長捉をかけることはOKです)また、二つ或いは二つ以上のコマで一つのコマに長捉をかけると負けになります。(ただ複数のコマの中に帥や将、一つの兵や卒がある場合は例外で、長捉が認められています)

4、一つのコマで二つ或いはそれ以上の数のコマに捉をかけることは允許着法で、手を変えない場合引き分けになります。二つのコマが二つ或いはそれ以上の数のコマに捉をかけることも允許着法で、手を変えない場合引き分けになります。

5、「二捉一還捉」(:一方が連続で捉をかけ、もう一方がその捉をさけるためにコマを動かした手が捉になる場合(この場合は片方は連続で捉をかけ、もう一方は捉と閑着等の捉以外の手と捉の繰り返し))は、連続で捉をかけている方(二捉者)が「長捉」をかけていることになるため、手を変えなければいけません。手を変えない場合負けになります。

6、真根子(根のあるコマ)に長捉をかける手は允許着法で、引き分けになりますが、假根子(一見根があるけれど根になっているコマが動くことの出来ない状態)に長捉をかける手は禁止着法で、手を変えない場合負けになります。ただ、炮や馬が根のある車に長捉をかける手は認められておらず、負けになります。

7、同類のコマに長捉をかける手は允許着法のため、引き分けになります。ただし、長捉をかけられたコマが規制を受けており動くことの出来ない場合或いはその線上を離れることが出来ない場合(例:炮などが横線上は移動出来るが縦線上は移動できない等)、禁止着法になるため、手を変えないと負けになります。また、活馬(自由に動ける馬)で 蹩脚馬(進路にコマがあり動きに規制がかかっている馬) に長捉をかけることは禁止着法で、手を変えなければいけません。

8、捉と兌を交互に行うことは「長捉」とみなされます。また「長捉」とも「長兌」とも言える局面の場合は「長捉」とみなします。 長捉の 「3~7」の項目と扱いが同じになるので参照して下さい。

9、帥、将、兵、卒はどのコマに長捉をかけてもOKです、このような場合の長捉は引き分けになります。また帥、将、兵、卒が車や馬、炮などのコマと聯合して長捉を行うこともOKです。

10、長欄、長献、長兌、長要抽吃は允許着法で、手を変えない場合引き分けになります。

ルール関連用語説明

ここではシャンチーのルールを考える際に必要になる用語を解説します。

解説の後ろに例で局面図をのっけておりますので、解説だけでは分かりずらいと言う箇所は図を参考にして下さい。

【ジャン(将)】

帥や将を直接攻撃することをジャンと呼びます。

1.車九進九

紅の車によるジャンです。


【殺】

ジャンや連続ジャンで攻撃を受けた帥や将がジャンを解消することが出来ない状態を殺と呼びます。

1.車九平六

紅の車による殺です。


【捉】

帥と将以外のコマを攻撃し、次の一着でコマをとろうとすることを捉と呼びます。

1.車九平八

紅の車による馬への捉です。


【兌】

お互いにコマを交換しながらとることを兌と呼びます。

1.炮一平五

紅は炮で黒の炮との交換を狙っています。このような手を兌と呼びます。


【攔】

相手のコマの左右上下の動きに規制をかけることを攔と呼びます。

1.炮九平二

紅は黒の8路の炮が炮8進3と指すことの出来ないように、炮で黒の炮の動きに攔をかけました。


【献】

自分のコマを相手にとらせる手を献と呼びます。

1.車三進五

紅は車を黒の車のある線上へ移動させました。黒に車を献した手です。

この局面の場合、次に黒が紅の要求通りに車3平7と紅の車をとると、炮七進九で紅は重炮で殺です。


【閑】

ジャン、殺、捉、兌、攔、献に属さない手を閑と呼びます。

1.兵九進一


【長ジャン(長将)】

連続でジャンをかけ続け、ジャンの過程で元の局面に戻り更にジャンをかけ続ける局面を長ジャンと呼びます。ジャンをかけて殺になるのであれば問題ありませんが、長ジャンは禁止着法です。解釈としては「長攔」や「長兌」、「長献」も長ジャンに含まれる可能性がありますが、 「長攔」や「長兌」、「長献」が必ずしも長ジャンになるわけではありません。

1.車二進一 将6進1 2.車二退一 将6退1

紅の車による長ジャンです。この手を繰り返していても紅は勝つことが出来ません。このような手順の繰り返しは禁止されています。


【長殺】

次の手で相手を殺(絶殺)にする手(殺には連続ジャンによる殺も含まれます)を繰り返すことを長殺と呼びます。これは允許着法で、この手を繰り返す場合引き分けになります。

1.炮四平五 将5平6 2.炮五平四 将6平5

紅の炮四平五の手に対して黒がが何も対応したい場合、馬二進四⇒将5平5⇒炮五平四と進み紅は連続ジャンで黒の将を殺にすることが出来ます。また二手目の紅の炮五平四も次に馬二進四の殺を狙う手で、黒は対応しなければいけません。上記の局面の紅の手順は長殺です。これは世界ルールでは允許着法なので手を変えない場合引き分けになります。



【長捉】

一方(A)が相手のコマに捉をかけ、もう一方(B)が捉から逃げる或いは他のコマを動かす等で捉を解消する手を指した後に再度一方(A)が捉の手をを繰り返し指し続ける場合に、捉をかけている方(A)の着法を長捉と呼びます。長捉については上の棋例の3~7に詳細がありますのでご覧下さい。

1.車八平七 馬3進2 2.車七平八 馬2退3

紅の車が連続して馬に捉をかけています。これは紅の車による長捉です。



【解殺】

相手が次の手で殺になる手を指した際に、相手の次の殺を解消する手を解殺と呼びます。用語の解釈としては解殺には「解ジャン(解将):ジャンを解消する手」や「避捉:捉を解消する手」も含まれますが、解ジャンや避捉は必ずしも解殺には当たりません。

1.仕五進四

黒には次に炮8進2の殺の手があるため、紅は仕五進四と指し殺の解消をしました。このような手を解殺と呼びます。


【反ジャン(反将)】

相手のジャンの手を解消する手で、相手にジャンをかけかえすことを反ジャンと呼びます。同じ意味で「殺を解消した手で捉をかける」と言う表現で「反殺反捉」や「解殺反捉」、「解将反将」を用いることもあります。

1.車二退九

上の局面では紅の帥は炮によりジャンをかけられています。紅はジャンを解消するために車二退九と車を引きましたが、この手により紅の炮が将にジャンをかける局面になりました。このような手を反ジャンと呼びます。


【有根】

捉をかけられたコマに守りがある場合、そのコマは有根(根がある)と表現されます。この逆で根がない場合「無根(根がない)」と表現されます。

黒の炮には根があります。


【真根】

有根のコマがとられた際に、根になっていたコマが相手のコマをとり返すことの出来る場合、有根のコマの根は真根(真根子)と表現されます。

※上の「有根」の図と同じ、黒3路の象は炮の真根です。


【假根】

有根のコマがとられた際に、根になっていたコマが動くことが出来ず、相手のコマをとり返すことの出来ない場合、有根のコマの根は假根(假根子)と表現されます。(偽物の根と言うことです)

黒3路の象は炮の假根です。仮に紅の車に炮がとられた場合も象で炮をとり返すことが出来ません。


【一将一殺】

ジャンをかけた手と次に殺にする手を繰り返すことを一将一殺と呼びます。解釈としては一将一殺には「一将一捉(ジャンをかける手と捉をかける手を交互に指す)」や「一将一閑(ジャンをかける手と閑の手を交互に指す)」、「一殺一捉(次に殺の手と捉の手を交互に指す)」、「一殺一閑(次に殺の手と閑の手を交互に指す)」、「数将一殺(数は数回のと言う意味で、二回か三回かのジャンの手の後に次に殺の手を指す)」、「数将一閑(数回のジャンのあとに閑の手を指す)」ことも一将一殺の手に含まれます。

1.車四平三 将5平6 2.車三平四 将6平5

紅の車四平三の手には次に車三進四の殺の手があるため、黒は殺を解消するために将5平6と指しました。そして紅は再度車三平四と指し、将を中路へ入れました。このような次に殺を狙う手とジャンを繰り返す手を一将一殺と呼びます。これは世界ルールでは允許着法のため、この手順を繰り返すと引き分けになります。


【二将一還将】

一方が連続でジャンの手を指し、もう一方がジャンの解決の手を指す際に、解決のための一手がジャンの手になること(連続ジャンをされている方は連続ジャンはしておらずジャンと他の手を交互に指している)を二将一還将と呼びます。

1.仕四退五 炮6平5 2.仕五進四 炮5平6

紅は仕四退五と指し炮でジャンをしました。その手に対し黒は炮6平5と指しジャンの解消をしつつ紅の帥にジャンをかけました。そして紅は黒のジャンを解消するために仕五進四と指しましたが、この手は再度炮によるジャンの手になりました。黒の次の手の炮5平6はジャンの手ではありません。このような手順を二将一還将と呼びます。(紅がジャンを繰り返し、黒はジャンの解消の手でジャンをする)


【二捉一還捉】

一方が連続で捉の手を指し、もう一方が捉の解消のための手を指す際に、解決のための一手が捉の手になることを二捉一還捉と呼びます。

1.車三進二 馬9進8 2.車三退二 馬8退9

紅の車三進二と車三退二はどちらも黒の馬に捉をかけている手で、黒の馬9進8は車に捉をかける手ですが、馬8退9は捉の手ではありません。このような手順を二捉一還捉と呼びます。


【二捉二還捉】

一方が捉の手を繰り返し、もう一方が捉を解消するための手を指す際に、捉の手を繰り返すことを二捉二還捉と呼びます。

1.車九平三 炮7平3 2.車三平七 炮3平7

この局面では紅の車は連続して炮に捉をかけ、黒の炮も連続して馬に捉をかけています。(お互いに捉をかける手を繰り返している)このような手順を二捉二還捉と呼びます。


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