シャンチー(象棋)中国個人選手権の棋譜紹介【張学潮選手対趙瑋選手】

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今回は1/8戦第8試合、張学潮選手と趙瑋選手の対局を紹介します!

はじめに

 1/8戦第八試合:

広東省シャンチーの威厳

中国のシャンチーの歴史上、広東と上海の2つの地域は総合成績が非常に高く、シャンチーの人材を多く出しているシャンチーの強豪地域です。

ただ、近年広東省でトップレベルの若い選手が少なくなってきました。呂欽選手、許銀川選手以来、中国個人戦で優勝することの出来る広東省出身の選手はまだいません。

今回の個人選手権では上海の孫勇征選手と謝靖選手がすでに8強に入りました。

そしてこの一局で8強の最後の一席をめぐり、広東省で唯一残った張学潮選手と上海チームの趙瑋選手が対局をすることになりました。

趙瑋選手は上海チームのプロ棋士です。試合に出る以外にも、テレビやインターネットのシャンチー番組に出演し、シャンチーの講義をしています。 趙瑋選手は様々な開局にとても深い研究があり、そしてわかりやすく視聴者に伝えるため、趙瑋選手の番組みはとても人気があります!趙瑋選手はシャンチー界の花形選手とも言えます。

そんな趙瑋選手を相手に、シャンチー強豪地区である広東省のシャンチーの威厳を保つため、張学潮選手が立ち上がりました!

棋譜紹介

紅方:張学潮

黒方:趙瑋

結果:紅勝ち

1. 炮二平六 馬8進7 2. 馬二進三 車9平8

3. 兵三進一 炮8平9 4. 相七進五 炮2平5

過宮炮対起馬の開局で対局が始まりました。これは中国国内で近年流行している開局です。黒は左側の三歩虎と中炮で、強く対抗する姿勢の陣形を選びました。

5. 馬八進九 車8進4 6. 車一進一 馬2進3

第6回合で紅が車一平二と車を交換しない手には、紅も局面を簡単化したくないと言う意志が感じられます。紅は勝つことを目指している指し方です。お互いに勝つ気持ちを持って指された試合はとても観賞価値が高いです。

7. 車一平四 卒7進1 8. 車四進三 炮5平4

第8回合で黒は中炮にした炮を、中炮から外しました。一見不自然な手ですが、この思想は局面を簡単化せずに、中局の力で勝負する意図のこもった指し方です。

9. 兵九進一 卒3進1 10. 馬九進八 象3進5(図1)

(図1)

第9回合で紅は封車の手を指しました。黒がもし気付かずに車1平2と指すと、紅は馬九進八で先手になります。このような棋形は試合で多く見られます。

11. 炮六退一 卒7進1 12. 車四平三 馬7進6

13. 車九平八 炮9平7 14. 馬三進四 炮7平6

15. 炮六平九 炮4進3 16. 馬四退三 炮4進2

17. 馬八進九 馬3進1 18. 炮八平九 炮4平7

この数回合ではお互いに陣形を調整しつつ攻撃のチャンスを探しています。

第15回合で黒の炮4進3により、戦火に火が付きました。

また、第17回合の紅の馬八進九でさらに局面が複雑化しています。

19. 車三退二 馬6進5 20. 車三進四 車8平4

第19回合で黒が炮6進1と馬を守ろうとしても、紅は兵九進一で馬をとりもどすことが出来るため、黒が馬を気にせず中兵をとる手は正着です。

21. 仕四進五 車4退1 22. 炮九進四(図2) 車1進3

(図2)

第21回合で紅がもし慌てて前炮進四と指し黒の馬をとると、馬5進3車八平七馬3進1炮九退五車1進5と進み、黒反先の局面になります。

第22回合の黒の手はこの一局の敗着のようです。黒の1つの車と紅の2つの炮の交換はコマの価値からすると損です。ここで士4進5と指すと、紅の前炮平五の手を防ぐことが出来るので、まだ交換しなければならない局面ではありません。

23. 炮九進五 車4平1 24. 車八進四 馬5退4

25. 車八平六 馬4退3 26. 車三平一 車1平2

第26回合で紅は卒をとりました。紅は2つの車、それに対し黒は1つの車と馬炮で、紅は兵の数が多いです。この局面はすでに紅優勢です。

27. 車一平四 士4進5 28. 兵一進一 車2進3

29. 兵一進一 車2平3 30. 兵一進一 車3平1

第29回合の紅の手は精細な1手です。ここでもし兵七進一と指すと、車2退1兵九進一車2平1と進み、紅の九路の兵がとられ、優勢が大きく減ります。

31. 兵一平二 卒3進1 32. 車六平七 馬3進1

33. 兵二進一 馬1進3 34. 車七平八 象5退3

第31回合の黒の手は失敗のようです。ここでは車1平8と指し、紅の兵二進一の手を防ぐと、紅はまだすぐに勝つことが出来ません。

では、なぜ黒はあえて3卒もすてたのか考えてみます。それは第34回合で、紅がもし慌てて兵二平三と指すと、車1退1車七平九馬3進1兵三平四士5進6と進みます。このように進むと、黒は馬単缺士対車の必和(引き分け)残局の局面になります。

ただ、実戦での紅の残局はとても丁寧で、そのように進みませんでした。第34回合の紅の車七平八の手では次の炮をとる手があります。

35. 車八進五 馬3退4 36. 車四退二

ここまでで、黒は辺兵をとる計画を成功させることが出来ませんでした。

ここからは紅優勢の残局です。

棋譜はここまでで、黒敗勢の局面で、紅が勝ちました。


○おわりに

この一局は紅の中残局がとても丁寧で、多くの人に深い印象を残しました。

張選手は趙選手に勝つことにより、広東省シャンチーの威厳を保ち、ベスト8に進みました。

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