シャンチー（象棋）甲級リーグの途中経過【棋譜紹介付き：王天一選手対金波選手】

(写真はライブ中継をされた李鴻嘉さんと陳幸琳さん)

甲級リーグの第一段階の11ラウンドまでが終わりました！

第一段階では16ポイントを獲得した浙江チームが１位に、その後に14ポイントを獲得した京冀連合チームと上海チームが続いています！また個人順位では18ポイントを獲得した王天一選手が１位に、15ポイント獲得した孟辰選手と蒋川選手が続いています！

第二段階でもまだまだ順位の入れ替わりがありますので、今後の第二段階もお楽しみに！

今回の記事では王天一選手の棋譜も紹介しています！(*´▽｀*)

みなさま是非ご覧下さい！

第一段階順位
棋譜紹介
試合の様子

第一段階順位

甲級リーグ　　

第一段階11ラウンドまでの順位

１位　　　浙江民泰銀行

２位　　　京冀連合チーム

３位　　　上海金外灘

４位　　　杭州環境集団

５位　　　四川成都懿錦控股

６位　　　広東碧桂園

７位　　　河南楚河漢界天輪

８位　　　厦門好慷在家シャンチーチーム

９位　　　江蘇梅特

１０位　　深圳市弈川文化体育発展有限会社

１１位　　山東体彩

１２位　　黒龍江森鷹

棋譜紹介

今回紹介する棋譜は甲級リーグ4ラウンド目の王天一選手（杭州）と金波選手（京冀）の対局です。この4ラウンドでは、王天一選手の勝利により、杭州チームが京冀連合チームに5:3で勝ちました。そのためこの試合はチームへの貢献に大きな役割を果たした重要な試合です。

王天一選手は現在のシャンチー界の第一人者です。また黒の金波選手も長年甲級リーグに出場している経験豊富な棋手です。この金選手は別称”大力神”と呼ばれる選手です。この別称では金選手の中局の力（攻撃力）が強いことを褒めています。

では、王選手と金選手の間では、どのような戦いが展開されたのでしょうか。

みなさま、是非棋譜をお楽しみ下さい。

紅方：王天一

黒方：金波

結果：紅勝

1. 炮二平四馬８進７ 2. 兵三進一車９平８

紅の初手の炮二平四は士角炮と呼ばれる開局です。士角炮は比較的穏健な開局です。王天一選手はいつも強い攻撃をしているイメージがありますが、王選手は実際のところ飛相局や士角炮など比較的穏健な開局をよく使っています。

士角炮に対して、黒は炮２平５が多く指される変化です、馬８進７は柔軟性を持つための対応です。今回の対局では第１回合から両選手とも開局の定跡に頼らず、中局で勝負しようと言う意図があるようです。

3. 馬二進三卒３進１ 4. 車一平二馬２進３

第4回合までで、黒は正々堂々とした屏風馬の陣形になりました。とても穏健です。

5. 馬八進七象７進５ 6. 相七進五馬３進４

7. 車九進一炮２平４ 8. 炮八進三馬４進３

最初の7回合までで、紅黒ともに穏健に各自の陣形を整えました。第8回合で紅から攻撃を開始しました。

9. 車九平六士６進５ 10. 炮八退五車１平２

第9回合で黒が馬３退２と指すと、紅は車六進六で、黒の4路の炮がなくなることにより、7路の馬の根がなくなり、今後攻撃される目標になります。

第8回合と第9回合紅の連続の手段により、黒の固い河口馬と馬後炮の陣形が崩されました。紅はすでに満足です。

ただ、ここまで黒はミスの手を指していません。それでも紅はすでに先手の局面になりました。その理由はやはり紅がとても精確的に指したためです。

11. 炮八平七炮８進４ 12. 馬三進四車２進５

13. 馬四進三（図１）卒３進１ 14. 車六進四車８進３

第13回合の黒の卒３進１は一見攻撃的ですが、実際のところこの手は敗着のようです。もし黒が卒３進１と指さなければ、今後紅には馬三退四の選択肢はありません。そのため、第１３回合黒が炮８平７と指した方が良いかもしれません。車の交換により、黒の左側の圧力を減らします。

第14回合の紅車六進四は強気に攻撃する手です。次に紅が馬三進一と指すと車８進２車二進三車８平９（車８進４馬一進三将５平６車六平四で、紅が速勝）相五進七車２平３士六進五と進み、紅は黒の車馬を牽制します。この局面は紅が有利です。

15. 馬三退四車８退３ 16. 兵三進一炮８進２

第14回合で黒は車８進３と紅の馬三進一の手を防ぎましたが、紅は馬三退四と指すことが出来るので、実際は得がありません。そして、第15回合で黒はまた車８退３と指し車を下げました（次紅は兵三進一の攻撃があるため）。つまりこの２回合で黒は動いていないことになります。これはこの一局の重要なポイントです。第14回合では黒は炮８平７と指す方が良かったかもしれません。次に

変化１．車二進九馬７退８馬三退四卒３平４と進むと、紅のコマの位置は良いですが、黒はまだ頑張れます。

変化２．馬三進一車８平７車二進八馬７退６と進むと、紅は次の攻撃がありません。黒は十分です。

17. 兵三進一炮８平２ 18. 車二進九馬７退８

第１７回合の黒の炮８平２は次に馬３進１馬１進３の攻撃の狙いがあります。不利な局面ですが黒が出来る限り頑張ろうとしています。

19. 車六退四馬８進９ 20. 兵三平四卒５進１

21. 相五進七車２平３ 22. 馬四退五炮２退１

第17回合の兵三進一から、紅はすべて先手を指し、優勢を拡大しています。

第21回合で紅は攻撃を始めました。第21回合では紅は次に炮七進三の手があるため、黒の車２平３は仕方がない唯一の対応です。第21回合で黒が卒５進１と指すと、紅馬四進二車２平３車六平八と進み、紅がコマ得です。

第22回合の紅の馬四退五は妙手です。

23. 炮四進一車３平６ 24. 炮七進三車６退２

第23回合の炮四進一も妙手です。

ここまでで、紅は必ずコマ得することが出来ます。

第23回合で黒が炮４平３と指すと、炮四平七炮２平５（炮３進４は馬五進七で、紅がコマ得です）相三進五車３退１前炮進四車３進３前炮平一と進み、これも紅がコマ得です。

25. 車六進三馬９進７ 26. 車六平八炮２平５

第25回合で黒は先に炮２退５と指した方がいいかもしれません。黒はすでにコマ損の局面なので、守る方針で指すと守り切ることは難しいです。そのため対攻して逆転のチャンスを狙う方針の方が良いかもしれません。ここでさらにコマが1つ強制的に交換され、黒の反撃力がさらに弱くなりました。これにより対攻するチャンスが減りました。

27. 相三進五卒９進１ 28. 仕六進五車６平３

紅はコマ得した後、急いで攻撃するのではなく、先に士相を上げ陣形を整えました。このリズム感はとてもきれいです。

29. 車八平七車３平２ 30. 炮七平六炮４平１

第29回合で黒がもし車を交換すると黒の反撃力がさらに弱くなり、紅はゆっくり勝つことが出来ます。

31. 炮六退三馬７退８ 32. 炮六平七馬８進６

33. 車七進五馬６進７ 34. 炮四退一車２進４

紅の車は河口を守り、黒の馬は全く上がることが出来ません。そして、紅はゆっくり黒の象をとりました。黒は守る方法が何もなくなりました。

第34回合での黒の車２進４は得がありませんでした。ここでは炮１進４と指した方が実戦より頑張れたかもしれません。

35. 馬七進六車２進２ 36. 車七退六馬７進８

37. 馬六進七（図２）