今回は1/8戦第2試合、孫勇征選手と趙鑫鑫選手の対局を紹介します!
はじめに
シャンチー界には1つの刀と1つの剣があります。
その刀を向けられた人のほとんどは逃げることが出来ません。その刀の名は”棋天大聖”孫勇征選手です。孫選手の殺法はとても正確で、その強い攻撃が始まるとそこから逃れることはとても難しいです。
また同じようにシャンチー界の剣もとても早い動きと、力強い攻撃で多くの選手を倒して来ました。その剣から身を守ることもとても難しいです。その剣の名は”六脈神剣”趙鑫鑫選手です。
2019年の中国個人選手権ではシャンチー界の刀と剣が1/8戦の第2試合で当たりました。
本来であれば準々決勝で当たるレベルの対決が、この1/8戦で行われることになったことで大注目の一局になりました。
さて、中国個人選手権優勝経験を持つ特級大師同士の対決はどのような内容だったのか、見て行きたいと思います! (^^)/
棋譜
紅方:孫勇征
黒方:趙鑫鑫
結果:紅勝ち
1. 炮二平五 馬8進7 2. 馬二進三 車9平8
3. 車一平二 馬2進3 4. 兵七進一 卒7進1
5. 車二進六 馬7進6 6. 馬八進七 車1進1
ここまでで中炮過河車対屏風馬左馬盤河の開局になりました。この陣形の特徴は変化がとても激しいことです。まさに刀と剣がぶつかり合うようにお互いに攻撃して行きます。
7. 車二平四 馬6進7 8. 馬七進六 車8進1
第7回合で紅は車二平四の変化を選択しました。ここではその他に、兵五進一、炮八進三、車二退二などの変化もあります。
9. 炮五平四 炮8平7 10. 仕四進五 象3進5
第9回合で黒は1つ罠を作りました。紅がもし炮四進七と指すと、黒は車1平6で、紅が炮を損します。 また、第10回合で黒は先に車1平4と馬を攻撃する手もあり得ます。
11. 炮八平六 車8進4 12. 車九平八 車8平4
13. 車八進七 士4進5 14. 相三進五 車4退1
15. 炮四退二 卒3進1 16. 炮四平三 馬3退4
17. 車八退三 車1平2 18. 兵七進一 車4平3
19. 車八平二 馬7退6 20. 車二進三 炮7平6 (図1)
この数回合の中局はお互いに譲ることなく激しい展開を繰り広げています。第19回合で紅は車八平二の攻撃を選択しました。もし穏健に指したいなら車八進四です。
21. 馬三進二 馬6進4 22. 馬二進三 車3平6
23. 馬三進四 象7進9 24. 車四退一 馬4退6
25. 車二平一 車2進4 26. 車一平二 車2進1
第25回合で紅は車二平一で優勢を確立しました。第25回合で黒がもし車2進4と指さなかった場合、次に紅は炮三平二の攻撃がとても厳しいです。
27. 炮三平二 卒7進1 28. 車二退二 馬6退7
29. 車二退二 馬4進3 30. 相五進三 車2退1
31. 相七進五 車2退1 32. 兵五進一 車2平6
33. 炮六進一 士5退4 34. 馬四進二 馬7退8
35. 炮二進九 象5退7 36. 炮六平三 馬3退5
37. 車二進三 車6進2 38. 炮三退三 車6平7
39. 炮三平四 炮6進4 40. 炮四進九(図2) 馬5進7
第40回合で紅はまた士を1つ取りました。黒の防衛線が少しずつ崩れてきています。
41. 炮四退三 象7進5 42. 炮二平一 炮6平5
43. 車二平三 車7平6 44. 兵九進一 象5退3
45. 車三進一 車6退3 46. 車三進二 将5進1
47. 車三退一 将5退1 48. 車三進一 将5進1
49. 炮一平六 将5平6 50. 炮六平四 車6平8
黒の士象の防衛はほとんどなくなりました。その不利な状況でも、剣は剣です。第49回合の将5平6で殺形を作りました。そして、第50回合の紅の炮六平四の攻撃を妙手で守りました。
51. 相三退一 車8進6 52. 相一退三 車8退3
53. 兵一進一 象3進5 54. 相三進一 象5進7 (図3)
第54回合の黒の象5進7は妙手です!紅は解殺のため、炮を失いました。
55. 車三退四 将6退1 56. 車三平四 将6平5
この局面では黒はコマが多くありますが、士象が全損しています。まだまだお互いにチャンスがあります。
57. 帥五平四 車8進3 58. 帥四進一 車8退1
59. 帥四退一 炮5平1 60. 仕五進六 車8進1
61. 帥四進一 車8退4 62. 相一進三 車8平9
63. 車四進一 車9進1 64. 車四平五 将5平4
65. 車五平六 将4平5 66. 車六平五 将5平4
67. 車五平六 将4平5 68. 兵五進一 車9平5
69. 兵五平六 卒9進1 70. 車六平一 車5退1
71. 車一退一 車5平1 72. 車一平五 将5平4
73. 兵六進一 車1平4 74. 兵六平五 炮1平6
第74回合で黒に最後のミスが出ました。ここでは車4平6帥四平五車6進1と指す手があったかもしれません。このように進むと後で炮1平5の手があります。それならまだ守ることが出来ます。
75. 兵五進一 将4進1 76. 車五平四(図4)
ここで黒は守る方法がなく、投了しました。
紅の刀と黒の剣の76回合にわたる激しい大戦は、74着目の黒の一手のミスで勝負が付きました。とても素晴らしい一局でした!!
わずかの差で個人戦の舞台から離れることになった趙鑫鑫選手…!
惜しいですが、その実力と今回の孫勇征選手とともに作った名局は永遠に個人戦の歴史に残ります! 趙鑫鑫選手の今年のご活躍も応援しています(*^^*)!!
おわり
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