(写真:優勝された蒋川選手)
第9回“碧桂園杯”が12月12日から18日にかけて広東省佛山市で行われ、蒋川選手が優勝しました!
“碧桂園杯”は中国の全国個人選手権で優勝経験のある選手のみが参加することの出来る試合です!
(つまりシャンチー界の本当のトップ集団のみが参加を許された大会です…!)
そのため毎年この大会では素晴らしい棋譜が沢山生まれます!!
今年も激戦が続き、最後は蒋川選手がレイティングトップの王天一選手を倒し、優勝されました!
蒋川選手!おめでとうございます!(*’▽’)
〇関連ページ
自動で動く棋譜を見ることが出来ます↓
試合について
〇開催日
2020年12月12日~18日
〇参加資格
中国個人選手権で優勝経験のある現役の男子選手
〇持ち時間
60分+20秒
引き分けの場合10分+10秒の快速戦
快速戦が引き分けの場合、紅方6分+5秒,黑方4分+5秒の試合(引き分けは黒の勝ち)
〇試合方法
トーナメント形式
〇上位入賞者
優勝 蒋川
準優勝 王天一
3位 趙鑫鑫
試合の様子
(趙鑫鑫選手(左)と王天一選手)
(鄭惟桐選手対汪洋選手(左)孫勇征選手対王天一選手)
棋譜紹介
今回紹介する棋譜は碧桂園杯敗者組の決勝戦です。勝った選手は決勝戦に入り、勝者組の蒋川選手と対戦するチャンスを獲得することが出来ます。今回紹介する対局は趙鑫鑫選手と王天一の棋譜になりますが、このお二人はシャンチー界の超一流選手です!!
それでは…お二人の熱戦を観賞して行きましょう!
紅方:趙鑫鑫
黒方:王天一
結果:黒勝ち
1. 兵七進一 炮2平3 2. 炮二平五 象3進5
3. 馬二進三 馬8進7 4. 炮八平六 車9平8
開局は仙人指路対卒底炮です。これは人気のある開局です。第3回合で黒は卒3進1や車9進1と指すことが一般的で、馬8進7はやや少ない変化になります。この手から黒が変化を求めて指して行く気持ちを持っていることが分かります。
5. 馬八進七 炮8平9 6. 兵三進一 馬2進1
7. 馬七進六 車1平2 8. 仕六進五 士4進5
第7回合では紅が車九平八と指す手が一般的ですが、ここであえて車を動かずに指して行く変化を選択しました。紅も変化を求めて通常の展開から外し、中局で勝負する戦略であることを示しました。
9. 車一進二 車2進4 10. 馬三進四 卒7進1
第10回合で紅の二つ馬が河口馬になりました。これはとても積極的な指し方です。ここから試合は激しい展開を迎えます。
11. 馬四進六 炮3退1 12. 車一平三 車8進5
13. 前馬進四 車8退2 14. 車三平四 炮9進4
第14回合で黒が卒7進1と指すと、紅は馬四退三と指し、紅が多少の先手です。
15. 兵七進一 車2進4 16. 相三進一 卒3進1
第15回合で黒が車2平3と指すと、車九平八卒7進1車八進七車3進5炮六退二炮9平1炮五平七炮3平4(炮3進6馬四進三と進むと紅の勝ち。また、炮3平1と指した場合、車八進二士5退4車八平六と進み、紅の勝ち)相三進五車3平1馬六進七と進み、紅が大優勢です。
第16回合で紅に軟着が出ました。ここで紅は兵七進一と指しても大丈夫そうです。次に黒が炮9進3と指し、兵七進一車8進6車四平三車8退1(炮9平7車三退二車8平7兵七進一士5進6炮五進四士6進5兵七平六と進むと、紅の攻勢が強いです)士五退六と進むと、対攻中ですが紅が十分です。
17.炮六平七 炮3平1(図1) 18. 兵三進一 炮9平8
第17回合で黒が間違えて炮3進6と指すと、馬四進三将5平4炮五平六と進み、紅が勝勢です。
第18回合で紅には車四進一の手があります。次に炮9平8炮五平二と進むと、紅が十分です。
19. 車四平二 卒3進1 20. 馬六進七 車2退5
21. 炮五平六 馬1進3 22. 炮六進四 馬3進4
23. 馬四進三 炮1平7 24. 炮六平二 卒5進1
25. 車二進一 馬4進3 26. 炮二平三 馬7退9
27. 車九進二 馬3退4 28. 車九平四 炮7進3
29. 炮三平四 馬9進7 30. 車四平三 炮7平9
31. 車三進四 卒3進1 32. 車二進三 卒5進1
ここまでの一段の中局は紅黒お互いに先手を奪い合い、とても高いレベルのきれいな指し方でした。第32回合の黒の卒5進1はコマを捨て、攻撃に行くつもりの手です。ここから試合は最も盛り上がる局面に入ります。
33. 車三進一 馬4進2 34. 仕五進六 卒3平4
第33回合の紅の車三進一は敗着のようです。コマ得ではあっても、黒の臥槽馬の攻撃が非常に強いです。ここで紅が炮四退二と指すと、必ず馬や車などのコマを1つ交換することが出来ます。そのように進むと黒には紅にとって致命的になる攻撃がなく、紅が十分です。
35. 仕四進五 車2平3 36. 相七進九 卒4進1
第36回合で紅が兵五進一と指すと、車3進6士五退六馬2進4帥五進一車3退1帥五進一炮9平3と進み、次は炮3進3で絶殺です。
37. 兵五進一 馬2進3 38. 帥五平四 車3進3
39. 炮四退五 卒4平5(図2)
第39回合の紅の炮四退五は最後の敗着です。ここで車二退五と指すと、車3平6(卒4平5士五退六)車二平四と進み、黒が優勢ですが、紅はまだ守ることが出来ます。
第39回合の黒の手の後、紅が投了しました。もしも続けて指すのであれば、紅は炮四平七と指し、卒5進1車二平四車3平4と進み、次に車4進3で絶殺です。
〇おわりに
この試合は、お互いに積極的に指し続けるとても激しい試合でした。最後の王天一選手のコマ捨ての殺法は教科書のような精確でとてもきれいな殺法です。
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