シャンチー(象棋)快速トーナメントの棋譜紹介【劉嘉琪選手対所司和晴選手】

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(写真:劉さん(左)と所司先生)

今回はシャンチー(象棋)快速トーナメントの劉選手対所司選手の棋譜を紹介させて頂きます!

棋譜は所司先生のコメント入りになっております!

皆さま、是非お楽しみ下さい!^^

○酒井さんに頂いた快速トーナメントの棋譜↓

はじめに

今回の快速トーナメントでは4ラウンドが終わってから

劉嘉琪選手、酒井清隆選手が7P、所司和晴選手、楊帆選手、服部選手が6Pでした。

6ポイント以上の選手の最終ラウンドのあたりは劉選手対所司選手、楊選手対酒井選手、柴崎選手対服部選手でした。所司先生も酒井さんも何となく波に乗っている様子な雰囲気でしたが、最終局の結果がみなさんにとってとても重要な雰囲気でした。所司先生のあたりは4ラウンドまでで一番ポイントを多く取っていた劉選手でしたが、所司先生の大会経験からくる勝負強さが最後の勝ちポイントに結びついたのかな~と思いました!^^

大会の結果は酒井さんの優勝でしたが、酒井さんが大会を好調に進むことが出来たのは所司先生との一局目の勝利からかな~と思いますので、今回の大会での所司先生の存在は大きそうです!

それでは皆さん、所司先生と劉さんの最終局の棋譜をお楽しみ下さい♪

棋譜紹介

本局は5ラウンド最終局になります。

私は酒井さんに初戦負けのあと、3連勝で最終局となりました。

私は6ポイントですが、勝てば優勝の目もあります。

劉選手は私よりポイントが1つ上で、酒井さんと同じく7ポイントで首位です。

対局後、劉選手に天天象棋のランクを聞きましたら、8-3とのことです。

日期: 2021.12.26

紅方: 劉嘉琪

 黑方: 所司和晴

 結果: 黒方勝

 1. 兵三進一  卒3進1     2. 相七進五  馬2進3

   3. 馬八進六  象7進5     4. 馬二進三  馬8進6

   5. 車一進一  車9平7    (第1図)

(第1図)

布局は対兵局となり、飛相局でもよくある形となり、比較的指し慣れた順になりました。

5回合で紅の車一進一では車九平七も普通で、以下は車1進1、兵七進一、馬6進4、馬三進四、車1平6、馬四進五、馬4進5と応じるつもりでした。

私は車1進1の同型にはしないで車9平7(第1図)で兵交換を急ぎます。

シャンチーは仮に穏やかな布局でも紅黒同型は、紅方の方が指しやすいケースが多いと思います。

 6. 車一平四  車1進1   7. 仕六進五  卒7進1    

7回合目士六進五は意外でした。

トンピンで調べますと、ここは手の広いところで、7通りの指し手がありましたが、士六進五はなかったです。

8. 車四進三  卒7進1   9. 車四平三  車7進5   

10. 相五進三  車1平4   11. 車九進一  炮8平7   

車四進三では兵三進一、車7進4にどう指すかですが、難しいところでしょうか。

しかし本譜では相を乱して黒方十分です。

12. 相三退五  馬6進7 (第2図)

(第2図)

馬6進7とした第2図では車や馬の働きで黒方有利です。

第2図から黒方は次に車4平8の転戦の味が良いです。

  13. 炮二退一  車4平8    14. 炮二平三  炮7進5

車4平8の転戦で黒方好調ですが、炮二平三に分析では炮2進1が最善とのことでした。ただこれは持ち時間が長い対局でも指せないです。

  15. 炮三進五  炮7進1    16. 炮八平七  馬3進2

  17. 炮三平四  車8平4    18. 炮四退五  車4進4

炮7進1と馬と車をけん制して黒方有利と思っていましたが、よく見ると炮三進一があり、勢い車8平4、炮三平七、車4進7で引き分けかなと思っていました。ただ途中は車8平4ではなく車8平3と辛抱して戦いは続きそうです。

本譜の車8平4では炮7平6がありましたが、炮四退四の形も堅いと思いやめました。

  19. 炮七退二  車4平6    20. 仕五進四  (第3図)

(第3図)

第3図では決断の一手で紅方優勢を持続します。

20.    ・・・ 車6進2   21. 馬六進四  炮7平1    

22. 炮七平九  馬2進3  23. 炮四平二  炮2進7   

第3図で車6進2と車を切って勝負にいき、優勢を持続です。このあたりから持ち時間が少ないですが、バタバタの中あまりミスなく進めることができました。

24. 仕四進五  炮1平8  25. 馬四退二  馬3進1   

26. 帥五平四  馬1進3  27. 炮九進一  炮2平1   

28. 仕五進六  馬3退4  29. 炮九平六  馬4進2   

30. 炮六平八  卒3進1  31. 相五進七  馬2退3   

32. 炮八平五  卒5進1    (第4図)

(第4図)

かなり進んで第4図、このあたりも依然黒方有利です。
34回合は卒5進1で交換か、馬3進4で勝負にするか迷いました。

指し手の価値はほぼ同格ですが、ずっと最後にこの兵の力によって絶体絶命になるとは。

  33. 馬二進四  士6進5    34. 兵五進一  馬3進4

  35. 兵五進一  馬4進3    36. 帥四進一  炮1平7

  37. 炮五平七  馬3退1    38. 馬四進三 (第5図)

(第5図)

快速戦でしたので棋譜の記憶としてはこのあたりですが、その後延々と果たしない戦いが続きました。

しかし引き分けになりそうな場面はなく、ずっと緊張した戦いが続きます。

私の方が常に持ち時間が少ない状況で、大きなミスはなく指せました。

しかし劉さんの指し手はさすがで、残局での自力の差で危険な局面が多くなりました。


(第6図)

最終局面の2着前が上の第6図です。

紅方の帥が殺で、受けにくい形にしました。

一手余せば黒方勝ちですが、第6図の2着前七路の馬が六路に引いて、第6図のように炮が4路に回るよりなく、この局面で炮六進六と炮を取られると殺が解除され、その後殺が続きません。

とうとう負けを観念しましたが、本譜は第6図から馬六退四のジャンと馬取りでした。

一見決め手のようですが、炮4平5の妙手で大逆転となり、奇跡的に勝つことができました。


○おわりに

本局は10分5秒加算の持ち時間では、長手数を目立つミスなく熱戦が指せました。

さらに最後が劇的でしたので優勝できたかもと思いましたが、酒井さんは最終局を勝ち2位でした。

結果としては初戦が事実上の優勝決定戦でした。

ただこの日はどの対局も早指しとしては良い内容が多く、充実出来ました。

とくに2局目、柴崎さんとの対局が7~8分対10数秒の局面で分析では私が不利でした。

普通ですとほとんど時間切れで負けですが、決断良く戦って勝ち、その後は好調の波に乗れました。

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