シャンチー(象棋)世界選手権の棋譜紹介【所司和晴選手対曽根敏彦選手】

実戦譜を見る

シャンチー(象棋)の世界選手権がアメリカ・ヒューストンで開催中です!

今大会は前半戦からも日本チーム同士の対局が多い印象の大会です・・・|д゚)

今回の記事では日本選手同士の一局から棋譜を紹介します!

世界選手権大会への派遣選手が決定しました!
2023年11月19日から25日にかけて、アメリカ・ヒューストンで、第18回シャンチー世界選手権大会が開催されます。日本シャンチー協会はこの大会(男子の部)に、4人の方々を日本代表選手として派遣することに決定しました。

こちらでは何局か動く棋譜を見ることが出来ます^^

棋譜紹介

今回は世界選手権の一局より日本選手同士の対局を紹介します!

今回紹介する一局は第3ラウンドの所司選手と曽根選手の一局です!

この一局は両選手ともスポーツマン精神を発揮し、お互いに攻撃的で激しい戦いに進んだ一局でした。世界選手権の日本代表選手の素晴らしい一局です!

皆さん是非棋譜ならべをお楽しみ下さい。

紅方:所司和晴

黒方:曽根敏彦

結果:黒勝ち

  1. 相三進五  炮8平4    2. 馬二進三  馬8進7

  3. 車一平二  車9平8    4. 炮二進四  卒3進1

開局は飛相局対左過宮炮の流行している開局です。

第4回合の紅の右炮封車に対して、黒は卒7進1と指す手が正着です。次に炮二平三象3進5車二進九馬7退8兵七進一馬2進4と進むと均勢です。

ただこの一局では、黒は卒3進1をあえて選択したようです。紅の詳しい変化を避けて戦う選択です。

  5. 兵三進一  馬2進3    6. 馬八進九  卒1進1

  7. 車九進一  馬3進4    8. 炮八進三  卒3進1

第8回合で黒が3卒をすてる手は損です。しかし再度馬4退3と馬が下がる手は歩数的に損です。そのため第7回合での黒の馬3進4は馬の跳ねるタイミングとしては少し早かったようです。ここで黒は炮2平1と指すと良いかもしれません。

  9. 兵七進一  炮4平5   10. 車九平四  馬4進5

 11. 炮二平五(図1)  馬7進5   12. 車二進九  前馬進7

(図1)

第11回合の黒の馬7進5で車をすてた手は勇気の溢れる一手です!

客観的に見れば車をすてた後の局面では、紅は確かに優勢です。ただ、局面が複雑になります。乱戦の局面では、優勢であってもミスの出る可能性が増えます。これは黒の狙いです。

 13. 車二平三  士4進5   14. 車四進五  車1進3

第13回合で黒は先に馬5進6と指す方が良いかもしれません。次に炮八平五士4進5と進むと、紅はもう一つの車が後ろに閉じこめられ、対攻のチャンスを得ることが出来ません。

 15. 仕六進五  馬7退6   16. 炮八平二  将5平4

第15回合の紅の仕六進五はミスなようです。ここでは仕四進五と指すと良いかなと思います。そのように指すと、帥の出口は自分の車側にあり、攻撃も防衛も便利です。(仕四進五と指さないのは、7路の馬を心配しているように感じますが、この馬は動かない限り黒には反撃がありません。紅は局面をコントロールすることが出来ます。)

 17. 炮二進四  将4進1   18. 炮二退一  将4退1

 19. 炮二進一  将4進1   20. 炮二平四  馬6進4

第20回合で紅は炮二平四と勝負の手を指しました。この手以降避ける選択はなく、お互いに攻撃して行くしかありません。ここで、紅は車四退一と指すと穏健です。このように指すと車で黒の馬6進4の攻撃線路を封じることが出来ます。

 21. 炮四退一  士5進6(図2)   22. 車三退三  炮2進7

(図2)

第22回合の紅の車三退三は敗着なようです。黒の攻撃を軽視しました。ここで紅は仕五進六と指す手が正着です。次に馬5進6帥五平六と進むと、紅の四路の車にはちょうど根があり、黒には次の攻撃がありません。このような意味で、第21回合では黒は士5退6と指す方がよいと思います。

第22回合の黒の炮2進7は妙手です!まさにシャンチーの古譜のような攻撃です。

 23. 仕五退六  馬5進6   24. 仕四進五  車1平6

 25. 車三平四  馬4進6   26. 帥五平四  馬6進8

 27. 帥四平五  馬6進5   28. 車四平五  馬5進7

第27回合で紅が帥四進一と指しても、炮2退1馬九退七(士五進六馬8退7帥四退一馬6進7帥四進一前馬退9帥四退一馬9進8と進むと黒速勝)将4平5炮四平三(車四退二炮5平3黒速勝)馬6進4車四平八炮2平1兵七進一炮5平3兵七平六炮3進4兵一進一馬4進3と進むと、黒が勝勢です。

 29. 帥五平四  馬7退6   30. 帥四平五  馬6進4(図3)

(図3)

ここまでで、黒は妙殺で、勝ちになりました!


〇おわりに

この一局では両選手とも戦闘精神の溢れる対局をし、名局が生まれました。

これまでの曽根さんではないようなとても激しい一局で(曽根さんは普段とても穏健なイメージでした)棋譜観賞もわくわくしながら楽しみました!!^^

曽根さん、日本シャンチー界の大御所、所司先生に勝利と言う大金星、本当におめでとうございます!

選手のみなさん、引き続き大会、頑張って下さい(*´▽`*)


世界選手権の様子

コメント

タイトルとURLをコピーしました