(写真の一番奥の台で指しているのが私たちです)
はじめに
今年の合宿ではじめてちゃんとしたダブルスマッチを体験しました!(何がちゃんとした基準なのかは謎ですが…。笑)
実際に指してみて感じたことは案外普通だな…、と言うことでした。(感想がこんなですみません・・・、笑。)指す前は棋風や得意な開局等がそれぞれ異なるので、異質なものが合わさればとても大変なことになるのだろうな…と思っていました。しかし、今回は試合直前にペアをくじで決めたので本当にひとことも事前の打ち合わせなしで指しましたが、指し終わって棋譜を見てみても、思いのほか「普通」で驚きました。
そこでダブルスマッチにしては自然な棋譜だなと思ったこの棋譜にみんなで少しずつコメントを入れてまとめてみました。今回はその棋譜の紹介をさせて頂きます。(初ダブルスマッチ記録棋譜と言ったところでしょうか…。笑)
ご協力いただいた、酒井さん、井上さん、田中さん、ありがとうございます(>_<)
棋譜紹介
紅方:田中・中村ペア
黒方:井上・酒井ペア
結果:黒勝ち
1. 炮二平五 馬8進7
2. 馬二進三 車9平8
3. 兵三進一 馬2進3
4. 車一平二 卒3進1
5. 馬八進九 卒1進1
6. 車九進一 卒1進1
第6回合で紅は「炮八平七」と「炮八進四」の変化も多く指されます。「炮八平七」は実戦と合流する変化になることが多いです。「炮八進四」は有名な引き分け譜です。(炮八進四象7進5炮八平七車1進3車九平八車1平3車八進七炮8平9車二進九馬7退8車八進一士4進5車八退七馬8進6車八平二卒5進1と進むとお互い平穏です。)(中村)
7. 兵九進一 車1進5
8. 炮八平七 車1平7
黒がもし馬3進2すると、多く指される互進三兵の開局に戻ります。ここで黒は激しい展開を選択しました。私はこの展開はそれなりに詳しいのでここまでの開局は成功だなと思いました!(中村)
9. 車九平四 象3進5
10. 車四進三 卒7進1
通常は「車7進1」の方が多く指される変化です。次に車二進四炮8進2車四平三のような展開になると、車7退1車二平三卒7進1と進み7卒が残ります。(中村)
11. 車二進四 炮8進2
中炮三兵型は黒の左辺が抑えられる展開が多いのですが、11回合の「炮8進2」でこの炮を自然に前に出せたことで手応えがありました。次に馬3進4という気持ちのよい活用があります。(井上さん)
12. 車四平三 卒7進1
13. 車二平三 炮8平7
14. 兵七進一 馬3進4
15. 兵七進一 炮7平3
16. 炮七平六 馬4進3(図1)

14回合で「馬3進4」と指すときに16回合の「馬4進3」の手までは見えていました。一見ただ捨てに見えますが、17.馬九進七と馬を取ると紅は詰むことをご確認ください。(酒井さん)
17. 車三平八 炮3進5
この時、紅の最善の手は「炮六平七」かなと思います。相が落ちずに確保できます。(楊さん)←謎に楊さん登場
18. 仕六進五 馬3進5
18回合で黒が「馬3進1」だと19.炮五平九 炮2平4 20.炮九進七と反撃されて危険のため、こちらを取るのが正解だと思います。(酒井さん)
19. 相三進五 炮3退2
20. 馬九進七 炮2平4
20回合で紅は「馬九進七」と指しましたが、対局中はここで「帥五平六」と指されたらどう指そうかと悩んでいました。 20.帥五平六 炮2平4 21.車八平六 士6進5 22.炮六進五 炮3平7 23.炮六平三 炮7平1は引き分けコースですので、20…炮2平1ぐらいでしょうか。(酒井さん)
21. 車八退二 炮3進1
22. 馬七進六 炮4進5
23. 車八平六 炮3退4
24. 車六進二 車8進1
25. 車六平三 馬7進6
26. 馬六進四 車8平6
26回合の「馬六進四」が元気良すぎ(馬三進四とつないでおくかと思ってました)かな、と思いました(田中さん)。
27. 馬四進二 車6平4
27回合の「馬四進二」の時は「馬四進三」も気になっていました。炮3退3に馬三進一と端に追いやられたようでも卧槽馬を狙う油断ならない位置です。ただし、黒は落ち着いて車6平4から士4進5とすれば大丈夫そうです。(井上さん)
28. 車三平四 馬6進4
28回合の「馬6進4」で車の力を借りて馬の進出が実現し、有利を意識しました。(井上さん)
こんな感じの棋譜紹介でした!
おわりに
【田中さんに対局中に考えていたことや、ちょっとした感想を聞いてみました。】
全日本選手権で対戦した時も中村さんはこの形にしていたので、「進三兵、左辺馬、左横車」にはなるかな、とは思いました。3.兵三進一で「ああ、やっぱり」。 先に左横車は自分ではほとんど指さないのですが、中村さんは詳しいはずなので、 細かいところは局後に教えてもらおう、などと図々しいことを考えてました。
試合の感想をお願いされ、手順をこねくり回してて気づいたのが、過去に私がアジア選手権で指した一局。 2016年、田中-甘徳彬(カンボジア)。
9回合で黒が車1平7とすると似たような局面になりますが、違いは黒の右馬の位置。 馬3進2と跳ねてないので、黒は車3進4ともできる。 その馬3進4を警戒して、10回合の「車四進三」では「馬三進四」だったかも。と思ったけど、炮8進3でまずい。
言われてみて改めて、確かに四人で指してるとは思えないクオリティだったなあと思います。
【田中さんがペアマッチで心がけていることを教えてくれました】
(田中さんは四川省で行われたダブルスマッチの国際招待戦にも出場したことがあります。←…よく考えてみたところ井上さんも出場していました!)
私が心掛けてることですが、
・一番はパートナーの意図
・時間はパートナーのもの
・自分の指し手を相手の下位者が受ける場合は、相手が迷うような手を選ぶ
(上位者だったら最善を)
私、ピンだといろんな意味で何やるかわからない(困ったことに私自身でもわからない時がある)タイプの選手だと思うんで、対戦相手がそう思ってくれるのは大歓迎なんですが、パートナーにそう思わせるわけにはいかないので、わかりやすい手を選択するようにしてます。 上級者と初級者という形で指して、初級者に「気づき」をうまいこと与えられれば、指導法としてもなかなか有効なんじゃないかな。
とのことです!
今回はダブルスマッチと言う少し変わった棋譜の紹介でした!(*’▽’)
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