田中篤選手に頂いた評注入り棋譜紹介(*´▽`*){「千百禾”杯シャンチー(象棋)網絡国際団体邀請賽」より

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今回は田中篤選手に頂いた、「千百禾”杯シャンチー(象棋)網絡国際団体邀請賽」の評注入り棋譜を紹介します(*´▽`*)

田中さん、評注棋譜のご提供、ありがとうございます!!

はじめに

この大会は団体戦で、日本は田中選手、所司選手、楊帆選手、可児選手の4名で試合に参加させて頂きました!(^^)!ちなみに私はいつものように監督をさせて頂きました!(監督は棋譜観戦も出来、試合の臨場感も味わえるお得なポジションです(∩´∀`)∩ワーイ)

ちなみに・・・

この大会の監督をしていて思ったことですが…

     この大会…

レベル高すぎ

!!!!!

|д゚)ビックリなレベルの選手しかいませんでした…


日本選手の対局を見つつ他の台の観察をしていたのですが…

本当にどこの台も素晴らしい対局ばかりでした…( ..)‼

試合前に各チームの選手名簿が届いた時からこの大会のレベルの高さは薄々感じていたのですが…

想像を裏切らないレベル感の大会で色々感動です…(( ´゚д゚`)オー)

→シンガポールチームに中国の時鳳蘭大師がいるのを見たあたりから色々な意味で期待値が上がっていましたが……本当に勉強になる大会だったな~と思います。


さて、今回はそんな大会から、田中選手の引き分けの一局を田中選手の解説入りでご紹介させて頂きます!(この大会は引き分けをとるのも本当に大変な大会でした~;;(>_<){貴重な1ポイントの一局です!!)

みなさま、是非お楽しみ下さい(*´▽`*)

棋譜紹介

日本 田中篤(先和)晋江象棋協会 蔡志超

1.炮二平五 馬8進7 2.馬二進三 車9平8 3.車一平二 馬2進3

4.兵七進一 卒7進1 5.車二進六 炮8平9 6.車二平三 炮9退1

7.馬八進七 炮9平7 8.車三平四 士4進5 9.炮八平九 車8進8

「中炮過河車進七兵対屏風馬平炮兌車」。7回合で兵五進一なら「急進中兵」となり、こちらも多い指し方ですが、私は実戦のように五九炮を選ぶことが多いです。紅が五九炮を選ぶと、黒は馬7進8から次の卒7進1を狙って反撃してくることが多いですが、本局では車8進8。スピード重視の急進中兵に対して現れることの多い手です。力をためて指す五九炮に対してはどうなのか?

10.車九平八 車1平2 11.車八進六 卒7進1(図1) 

12.車四進二 炮2退1 13.車八進二 車2進1 

14.車四平三 馬7進6 15.兵三進一 車2進5

(図1)

馬7進8と跳ねずに卒7進1。これも本来は急進中兵に対しての指し方です。兵三進一と取ればそこで馬7進8で車と馬の両取りです。ネットでの練習対局で似たような形にされて負けたことがあり、その時観戦していた山崎さんからの「車と炮二枚を交換するよりない」という局後の指摘を参考にすることにしました。(12回合から14回合の手順。)続いて兵三進一と7路の卒を取ります。平炮兌車の変化全般に言えることですが、黒は常に「炮9平7」と車を打った後、(紅が急進中兵でなければ)「馬7進8」と跳ねて、「卒7進1」と突き、「炮7進8」と相を抜く手を狙ってきます。紅としては常に警戒して指さなければならない、場合によっては車を犠牲にしてでも阻止しなければならないほど危険な手順、ということなのです。7路の危険な駒と、それを使ってくる危険な手が消え、3路の馬が前に出るにはまだまだ時間がかかります。

16.兵三進一 馬6退5 17.車三進一 車2平3 18.馬三退五 車3退1

馬6退5と引かせ、黒の馬二枚がすぐ前に出てこれない形になりました。速くて強い攻撃はないので象一枚を取っておきます。この先、車を攻めながら炮馬を動きやすい形にしたいところです。

19.炮九退一 車8退1 20.炮五平三 卒3進1 21.兵三平四 馬3進4

22.兵四平五 卒5進1 23.相三進五 車3平6 24.馬五退三 車8退4

 兵三平四から兵四平五、過河兵を捨てて黒馬の進路を限定します。車を打ちながら相が連絡、相が動いたところに馬を引いて塞心馬を解消。黒の攻撃を止めながら、目指す形が順調にできていきます。

25.車三退四 士5退4 26.車三平五 車8平7 

27.炮三進三 馬4進3 28.炮三平七 車7平4 

 炮三進七を警戒してし士を下げますが、卒を取り返して車が中路を占有。黒車の前進を防いで馬を打ち、将来の脅威となりそうな3路の卒を取り払います。

29.炮九平七 車4進1 30.車五平六 馬3退4 31.士六進五 車6退2 

 こちらの車はなくなりますが、士六進五と守りを固め、馬三進四と跳ねやすくなりました。

32.馬七進六 象3進1 33.炮七退三 車6平2 

34.前炮平六 馬4進6 35.馬三進四 車2進2 

36.炮七進三 馬6進4 37.炮七退二 車2退2 

38.馬四進三 士4進5 39.馬三進五 馬4退2

 ここはもう全力で防御です。馬三進五と馬取りに跳ねたあとの馬五進六を防いで士4進5。

40.炮七進二 車2平8 41.馬五退三 車8平7 

42.兵五進一 馬2退3 43.馬六進七 馬5進3 

44.兵五進一 馬3進4 45.兵五平六 車7進1

46.兵九進一 馬4進6(図2) 47.馬三進五 馬6退5 

48.兵六平五 車7平5

(図2)

 図の局面で、馬交換になれば和勢濃厚、と馬三進五ですが、指した直後に「炮七平五のジャンもあったか?」と一瞬の後悔。士5進6が最善のようですが、兵六平五が厳しい追撃。もっとも、対局中は馬三進五と思っていて、それだと駒得できそうでできない、勝てるかもしれないが何か間違えて負ける(兵六平五の方がよいことにも気づいてないので、間違える可能性が高い)リスクもある局面が続く。負けるリスクが減る選択をした以上、ジャンしなかったのを引きずることなく引き分け狙いを徹底することにしました。

49.炮六平九 車5進2 50.炮九進四 車5平9 51.兵九進一 車9退2

52炮七平三 将5平4 53.炮九平六 車9平1 54.炮六退六 車1平7

 兵と卒を取り合い、引き分けの局面へと向かいます。黒の卒が一枚残っていますが、こちらは炮二枚が残っているので、炮一枚と卒の交換、ということになっても、車一枚に対して士相全部(これだけでも和)と炮一枚が残り、和になるのです。

55.士五進六 将4平5 56.炮三平二 士5進4  57.士六退五 士6進5

58.炮六進二 卒9進1 59.炮六進二 車7平5 60.炮二平三 車5進1

61.炮六退二 卒9進1 62.炮三進三 象1退3 63.炮三退五 卒9平8

64.相五退三 車5平7 65.相三進五 車7進1 66.炮三平一 卒8平9

67.炮一平四 卒9進1 68.炮四進二 車7平5 69.炮四平七 卒9平8

 1チーム4人での団体戦なので、速く対局が終わった選手はまだ続いている選手の対局を観戦したり応援したり、ということになるのですが、このラウンド、日本チームで最後まで残っていたのが私の対局。可児選手が頑張ってることが多いので珍しい。チャットでは「引き分け確定なのに相手は何で和にしないんだ?」という声もあったようですが、私の残り時間は10秒ほど。時間切れで勝てるかも、と思っていたのかもしれません。

「引き分けですから!私でもわかりますから!」と大声でアピールしたいところですが、そもそも相手も審判も国外です。実際の指し手で相手に伝えるよりありません。ただ指すだけでは伝わらないかもしれない。そこで…

70.炮七平九 卒8平7 71.炮九平一 車5退2 72.炮一平三 卒7平6

73.炮三平九 卒6平5 74.炮九退二 卒5平4 75.炮六平八 車5平2

76.炮八平七 車2進3 77.炮七進二 卒4平5 78.炮七平一 車2進2

79.士五退六 車2退1 80.士四進五 車2退3 81.炮一平七(和)

 10手以上、私の指し手はすべてほぼノータイム。残り時間が2分近くまで回復。時間が切れることも間違えることもないだろう、と、相手にも納得してもらえたようで、和の提議がありました。全敗も覚悟していましたが、本局で和。47回合、炮でジャンなら勝ちまであり、天天象棋のレベル9相手でも途中まで互角の勝負が何局かありました。レベル6で勝ったり負けたりしてる場合じゃないな。と、改めて思います。


○おわりに

この一局は後半戦…相手は何故引き分けしないのか…(しつこいな…)と心の中でとても感じていました…|д゚)私としては是非田中選手にポイントをとって頂きたかったので「まだやるのかい???」「え??」「え~???」と言った感じでした…。きっと引き分けだろうと思っても結果が和になるまで心配なのが…監督です(←大会は何があるか分からないので…!!)。と言うことで、和になった瞬間は本当にホッとしました(*´▽`*)

終わってみて思ったことは、この大会は本当にレベルの高い選手ばかりで、結果としてチームポイントとることはなかなか出来なかったのですが、あと少しなのではないかな~と感じる対局が多くありました!(何と言うか……もう少しでポンっと伸びる瞬間がくるだろうな~と感じる対局が見ていていくつもあったな~と思います…!!)

なので今後の日本チームのメンバーの対局が楽しみです( *´艸`)

ブログの読者の皆さま、是非今後も日本チームの応援をよろしくお願いします!!^^

そして日本チームの皆さん、これからも一緒に頑張りましょう~~!!

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