シャンチー（象棋）中国個人選手権の棋譜紹介【王天一選手対孟辰選手】

今回はシャンチー（象棋）中国個人選手権の決勝戦の棋譜を紹介します！

対局中に出された王天一選手からの挑戦状を受け、勇敢に戦った孟辰選手との素晴らしい一局です！

皆さま、棋譜並べをお楽しみ下さい＾＾

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はじめに
棋譜紹介

はじめに

今回紹介する対局は今年の中国全国個人戦で最も重要な一局と言われた決勝戦の対局です。

対局された選手は、今中国で最もレベルが高く、コンディションの良い棋士である王天一選手と孟辰選手です。王天一は紹介する必要もなく１０年間レイティング１位の王者です。対する孟辰選手は現役で中国個人戦の優勝経験のない選手の中でもっとも強いと言われている選手です。

今回はこのお二人の決勝戦での一局を紹介します！

この一局はとてもきれいで、歴史に残れる素晴らしい名局です。

二人の対局をお楽しみ下さい！

棋譜紹介

紅方：王天一

黒方：孟辰

結果：紅勝ち

1. 兵七進一馬８進７ 2. 兵三進一炮２平５

開局は仙人指路対進左馬です。

第２回合で黒は還中炮の陣形を選びました。昔の開局理論では、紅の中炮に対し黒の屛風馬側は対抗することが出来ますが、紅は先手であるため、ここで黒が中炮にする手は得がないと認識されていました。そのため、黒は第２回合では一般的に炮２平３と指す卒底炮や炮８平９と指す三歩虎を選ぶことが多かったです。しかし、現代では棋手たちによる深く細かい開局の研究が進んだことにより、この開局も選択可能な手になりました。

3. 馬八進七馬２進３ 4. 車九平八車１平２

5. 炮八進四馬３退１ 6. 炮八退五（図１）車９進１

第５回合の炮八進四は王選手の棋風に合った激しい変化の選択です。ここで、馬二進三と指し屛風馬にする手もとても穏健で、よく指される変化です。

第６回合で紅が炮八進一と指し馬１進３炮八退一と進む変化は引き分けに進みます。もちろん、王選手はそんな手を選択することはありません。

また、第６回合で紅が炮八平五と指し、馬７進５車八進九馬５退３と進むと、紅はコマ損です。

第６回合の紅の炮八退五は前に行った炮がまた下がったように見え、一見無駄な動きに見えますが、次にもし黒が馬２進３と指すと、実際のところ紅は（第４回合と比べると）損なく炮八退一で一手得です。また炮八退五と指した局面では、次に紅には炮八平五、炮八平三などの戦術が生まれます。

7. 馬二進三車２進４ 8. 相三進五卒７進１

9. 炮八平三車２進５ 10. 馬七退八卒７進１

11. 炮三進三馬７進６ 12. 馬八進七炮８平６

ここまでの開局は概ね均勢に進んでおり、局面も平穏です。

13. 炮二平一車９平８ 14. 炮一進四車８進２

15. 炮一退一馬１進３ 16. 仕四進五車８進４

17. 車一平三炮５平４ 18. 車三平二（図２）車８平７

ここまでの数回合で、紅黒ともに陣形を調整しながら、相手の隙を探し、攻撃を試しに行っています。ただどちらの防衛線も厳しく守られているため、お互いにチャンスがありません。

第１８回合で黒が車８進２と指すと、局面はとても平穏で均勢です。

ただ実戦で黒は、ここで車８平７！と勝負の手を指しました！

黒の選手のレベルで紅の次の炮一平三の攻撃の手を見てないはずがありません。ここでこんなにも危ない手を指した理由は本人に聞かないとわかりませんが、おそらくこの局面を深く読んで、対攻に有利と判断したためと考えられます。その判断が正しいかどうかはともかく、この手により、この一局はとても激しくなり、この素晴らしい名局が生まれることになりました。

19. 炮一平三車７平９ 20. 炮三進五将５進１

第２０回合で黒が士６進５と指すと、紅は車二進三と指し車９進２後炮退五と進むと、次に紅は前炮平一と指し、紅の有利な局面になります。

21. 車二進八炮６退１ 22. 后炮平一車９退１

第２１回合で黒が将５進１と指し、馬七進八馬６進４後炮退一卒５進１兵五進一卒５進１炮三平六卒５平４馬八進七と進むと紅には攻撃手段があります。

23. 炮一進三車９進３ 24. 仕五退四炮４退１

第２４回合で黒が車９平６と指しても次の殺はなく、紅には炮一平四や車二退八など攻撃があります。

25. 仕六進五馬６退８ 26. 炮一平四馬８退６

27. 車二退一将５平６ 28. 炮三退七車９退５

29. 炮三平四馬６進７ 30. 車二平七馬７進８

31. 車七退一車９平５ 32. 車七平六将６平５

33. 馬七進八