今回は準準決勝の第3試合の棋譜を紹介します!
はじめに
今回紹介する棋譜は準準決勝の第3試合の趙金成選手と張学潮選手の対局です。
両選手とも全国個人選手権の優勝は未経験者です。この試合の勝者は10名ほどの全国個人選手権優勝経験者が参加している本大会のベスト4に入ることが出来ます。それはとても素晴らしい成績です。
果たしてどちらの選手がベスト4に入るのでしょうか?
棋譜を見て行きたいと思います‼ (*´▽`*)
棋譜紹介
紅方:趙金成
黒方:張学潮
結果:紅勝ち
1. 炮二平六 卒7進1 2. 馬二進三 馬8進7
開局は過宮炮対7卒です。これは中残局の力を重視し、勝負してゆく開局の1つです。
3. 車一平二 車9平8 4. 車二進四 炮8平9
5. 車二平四 象3進5 6. 馬八進九 馬2進3
ここまでの開局は棋譜通りに進んでいます。
第5回合で紅には車二平四と車二平六の2つの大きな選択肢があります。車二平四は黒の7路の馬の進む道を制限する、穏健な指し方です。
7. 炮八平七 車1平2 8. 車九平八 車8進1
第8回合で黒は車8進1と指しました。この手は車を活用するための移動の手です。この局面では黒の8路車はとくによい線路がありません。例えばここで黒が車8進6と指すと、車八進四車8平7相三進五と進み、次に紅には炮六進一の手があります。このように進むと黒には得がありません。
9. 車八進六 車8平4 10. 仕四進五 車4進3
11. 炮六平四 炮2平1 12. 車八平七 車2進2
第11回合で紅が車八平七と指すと、黒は馬7進6と指し、対抗することが出来ます。そのため、紅は先に炮六平四で、黒の馬7進6の点をコントロールしました。
第12回合の黒の車2進2は局面を劣勢にした手のようです。ここで馬7進8車四平二卒7進1車二平三と進む展開では、黒の9路の炮が3路の馬の根になるため、黒は炮1退1と指して反撃することが出来ます。実戦の局面では黒は2路の車と1路の炮が馬の根になっているため、炮1退1と指すことが出来ません(紅が車七進一と指せるためです)。
13. 兵九進一 炮9退1(図1) 14. 車四進四 卒9進1
第13回合で黒にミスが出たようです。ここでは黒は卒1進1と指し様子を見る手もあったかもしれません。次にもし紅が車四平八と指すと、車2進3馬九進八車4平2車七進一馬7進6車七退三卒1進1馬八退九馬6進5車七平九馬5進3と進み、黒がコマをとり戻して、十分です。
第14回合で紅はコマ得の手段に気が付かなかったようです。紅はチャンスを逃がしました。ここでは車四平八車2進3馬九進八車4平2車七進一炮1進3馬八退九と進むと、紅がコマ得で、優勢です。
15. 相三進五 車4平6 16. 車四平三 炮9進2
17. 車七退二 馬3退5 18. 車三平二 車2進2
19. 車二退二 炮9退2 20. 炮四退二 馬5退3
21. 車二進二 士4進5 22. 兵三進一 卒7進1
23. 車七平三 車6平8 24. 車二平三 馬3進1
紅は前で大きなチャンスを失った後、ここ数回合の細かい中局の戦いで頑張って先手を拡大しようとしていますが、黒にはとくに攻撃の隙間が現れませんでした。
そして第23回合まで進み黒についにミスが出ました。ここでは黒がもし炮1退1と指し、車二退四馬7進8と進むと、紅のコマの位置が有利ですが、黒が対抗することが出来ます。
第24回合で紅は車二平三と指した後、黒は炮1退1と指すことが出来ません。これにより、黒の左側の馬と炮が牽制され、紅の先手が拡大しました。
25. 炮四平三 炮1平4 26. 車三平七 炮9進2
第25回合で黒に緩着が出ました。ここでは黒が炮9進1と指し、車三平七馬7進6車三進一馬6進5と進むと、黒十分な局面です。
第26回合、紅は二度目のチャンスを逃がしませんでした。車三平七と指し、攻撃を開始します。
27. 炮三進七 炮4退1 28. 炮三進二 象5退7
29. 車三進一 炮9退2(図2) 30. 車三退三 馬1進2
第29回合までで、紅は2つの象をとり優勢な局面を獲得しました。
31. 車三平五 馬2退4 32. 車七進三 車8平4
第32回合の紅の車七進三は次に車七平六と指し、馬をとるための手です。
33. 炮七平六 馬4退6 34. 車七進二 炮4退1
35. 車五退二 馬6進8 36. 馬九進八 車4平3
37. 車七平六 将5平4 38. 馬八退六 将4平5
39. 馬六進七 車2平3 40. 兵七進一 車3平4
第39回合までで、紅は巧妙なコマ交換戦術を通して、車馬炮四兵士相全対車馬炮双卒双士の勝勢残局に入りました。
41. 車五平二 馬8進6 42. 車二進二 車4平6
43. 車二平三 馬6進4 44. 炮六進二 士5進6
45. 兵七進一 馬4退6 46. 兵七進一 炮9平1
47. 炮六平二 馬6進4 48. 炮二進五 将5進1
第48回合で黒が士6進5と指すと、車三進三士5退6車三退四と進み、紅が速勝です。
49. 車三退二 車6平8 50. 炮二平三 車8退1
51. 車三平六 馬4退5 52. 車六平五 車8平7
53. 馬三進二 車7退3 54. 馬二進四 将5平6
第52回合から第54回合での紅の先棄後取の戦術はきれいでした。ここでもう1つのコマを交換し、紅はより単純明確な勝勢局面に入みました。
55. 馬四進五 士6進5 56. 兵七平六 車7進3
57. 馬五進七 車7進1 58. 兵六平五 車7平3
59. 馬七退六 車3退1 60. 車五進一 炮1進4
61. 車五平一 炮1進1 62. 帥五平四 車3進3
第62回合の紅の帥五平四は次に車一進三→車三平五と士をとるつもりの手です。
63. 前兵進一(図3)
最後の一手は次に紅が前兵進一と指し士をとり、殺にするつもりの手です。
ここまでで黒は解決方法がなく、投了しました。
〇おわりに
この試合では第13回合で黒は大きなミスをしましたが、両選手とも気付かずに進みました。高いレベルの大会での緊張がよく伝わってきます。その後、紅は丁寧に戦い、徐々に先手を拡大し、第29回合までで、勝勢局面を獲得しました。
黒は不利の局面でもあきらめずに第63回合まで粘りました。張学潮選手のスポーツマン精神を感じる対局でした。 また試合の後半の棋譜もとても勉強になるコマの動きだったなと思います!
この試合の勝利により、趙金成選手は全国個人戦優勝未経験者として、堂々とベスト4に入りました。
おめでとうございます! (*’▽’)
試合の後半の棋譜もとても勉強になるコマの動きでした!!
おわり
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