「アジアシャンチー(象棋)都市対抗インターネット団体戦」の棋譜紹介(楊帆選手対楊嘉燁選手)

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「アジアシャンチー(象棋)都市対抗インターネット団体戦」の楊帆選手の対局棋譜を紹介します!

はじめに

「アジアシャンチー(象棋)都市対抗インターネット団体戦」では残念ながら日本チームはあまり良い成績をとることが出来ませんでしたが、対局内容では良いものも多くありました!

今回は楊帆選手に頂いた1R目の評注入り棋譜を紹介します。

是非お楽しみ下さい(*’▽’)

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棋譜紹介

(評注:楊帆)

今回紹介する棋譜はアジア都市団体戦1Rのクアラルンプールチーム(マレーシア)との試合の棋譜です。相手は強豪チームですので、試合前はしっかりと準備しました。以前行ったマレーシア交流戦の際に、楊嘉燁選手と指したことがあり、紅黒も一緒だったので、開局の準備をすることが出来ました。

紅方:楊帆

黒方:楊嘉燁

結果:紅勝ち

1. 兵七進一 炮2平3 2. 炮二平五 馬8進7  

3. 馬二進三 卒3進1 4. 車一平二 卒3進1

5. 馬八進九 車9進1 6. 兵三進一 車9平6

第5回合まで、前回の交流戦と同じ開局です。

第5回合の黒の車9進1は左車右移という狙いがある手で、反撃力のある指し方です。

ここでは車9平8が一般的です。次に車二進四炮3退1炮八進六車1進1車九平八炮3進8と進む展開になります。(2020年快速トーナメント井上選手との試合の開局)

第6回合で紅は前回の交流戦の時、車二進四と指しました。前回の対局では次に馬2進1車二平七車1平2炮八平七炮3進5車七退二と進み、局面は平穏で紅には先手がありませんでした。

そのため今回紅はここで開局を改善しました。急いで黒の過河卒をとり返すのではなく、兵三進一と指しました。これは全体的に局面をコントロールするための、積極的で攻撃的な指し方です。 第6回合で黒がもし馬2進1と指すと、紅は馬三進四で次に馬四進五の先手があります。

7. 仕六進五 炮8平9

第7回合で紅はまた一つの罠をかけました。紅には次に炮八進五の攻撃があります。黒の8路の炮に車の根が付いてない弱点を狙う攻撃です。

8. 車九平八 象3進5 9. 炮八進四 馬2進4

第9回合で黒の馬2進4は一般的な発想ですが、反撃力がありません。ここで黒が車1進1と指し、炮八平三車6平2と進むと、車交換の後、紅の左側が薄く、黒に反撃のチャンスがあります。

10. 炮八平三 車6進3 11. 車八進八 馬4進6(図1)

(図1)

第11回合で黒はミスをしました。ここで、黒が車6平4と指すと、次に車二進七炮9退1と進み、お互いに難しい局面になります。 ここでの黒の馬4進6は、紅の兵三進一の開局に対して準備がなかったための、その場での臨時対応です。ここまでで、紅の開局は大成功です。

12. 車二進七 士4進5 13. 車二平三 車1平4

第12回合で黒は士6進5の方がもう少し頑張れました。次に車二平三馬6進5車三進一車6退1炮五進三卒5進1と進むと、紅の中炮の攻勢がなくなります。

第13回合で黒がもし馬6進5と指すと、紅は炮三進三で大優勢です。

14. 炮五進四 車4進2 15. 炮三進三 馬6退7

16. 車三進二 …………

紅は単純明快な手段で象をとり、優勢を拡大しています。 この手は問題ないですが、車三平一の指し方もあり得ます。そのように進むと、黒は将5平4の後、象が紅車を当てる先手がなくなります。

16. ………… 将5平4 17. 車八進一 将4進1  

18. 車三退三 車4進1 19. 相七進五 車6平3

20. 車八退七 …………

第18回合で黒は不利な状況でとても粘り強い手を指しました。黒の車4進1は紅の車炮を牽制する手です。紅はこの問題をどのようにして解決するのか3分間以内答えを見つけられませんでした。

ここでの車八退七は緩い手ですが、時間内で大きいミスの手を指さないよう、相手の動向を見る手です。

20. ………… 卒3進1(図2) 21. 炮五平四 炮9平6

(図2)

第21回合で紅がようやく答えを見つけました。炮五平四は次に炮四進二の先手があり、黒は対応する必要があります。その後、紅兵三進一で紅車に根を付けました。

22. 兵三進一 卒3進1 23. 車八進六 将4退1

24. 炮四平一 車4平7 25. 兵三進一 炮6進4

第25回合までで、紅は車炮が牽制されている問題を解決しました。これによりだいぶ局面が明るくなりました。

26. 兵九進一 卒3進1 27. 車八退四 車3進3

28. 車八平六 炮3平4 29. 馬九進八 車3平2

30. 馬八進九 …………

紅の実戦の指し方は問題ありませんが、その他、紅は馬八進七と指しても大優勢です。次に象5退7馬七退五と進むと、炮交換のついでに士をとることが出来ます。

30. ………… 将4平5 31. 炮一進三 象5退7

32. 車六平八 …………

紅は先に車交換の手で、黒の車を窮屈な場所に移動させる、細かい手です。

32. ………… 車2平1 33. 車八平六 炮6進2

34. 炮一退五 …………

黒は不利な状況で、攻撃の局面を作ります。確かに強豪の底力を感じる指し方です。 ここでの紅の炮一退五は冷静で正しい判断です。 ここで紅間違えて士五退六と指すと、黑は車1平5で、局面がまた難しくなります。

34. ………… 卒3平4 35. 炮一平五 象7進5

第35回合の紅の手は、見た目はジャンですが、実際は相を守る手です。

36. 仕五退六(図3)

(図3)

紅の最後の一手で黒の殺を完璧に守ることが出来ます。

黒にはチャンスがなくなり、ここで負けになりました。  


○おわりに

この試合は、自分の実力以上の相手に勝つことが出来て、とても自信を持てる試合になりました。今後の勉強のモチベーションにもつながりました。 また、この試合により、強豪マレーシアからチームポイントをとることが出来ました。これも嬉しいことでした。

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