田中選手に頂いた棋聚五洲杯の棋譜紹介【田中篤選手対江明庭選手】

実戦譜を見る

今回は棋聚五洲杯の予選大会の棋譜を紹介します!

今回は田中篤選手に頂いた評注入りの棋譜を紹介させて頂きます!

田中さん、ありがとうございます!(*´▽`*)

はじめに

棋聚五洲杯はシャンチーの世界連合が主催となり行われた去年最後の大きな大会でした!

予選賽は2021年12月4日~8日にかけて天天象棋で行われ、日本からは可児さん、田中さん、所司先生、曽根さん、楊さんが参加されました!

その時の楊さんの棋譜も紹介していますので、是非こちらもご覧ください!^^

この一局は見ていて途中大変だな…と思いながら一度退席し他の参加選手の対局を観戦後に、もどってくると「???」(回復している!!勝つじゃん!!これ!!)となったビックリ対局でした!江明庭選手も「あ~…」となりながら最後まで頑張って指していたのかなと感じます…!

田中選手の解説文も面白いですし、棋譜もシャンチーらしい面白さのある一局ですので、皆さん是非お楽しみ下さい! ^^

田中さんの棋譜紹介

1日目は連敗スタートとなってしまいましたが、2日目の3回戦を苦戦しながら和に持ち込み、勝って勢いをつけたい一局です。

紅方:田中篤(日本)

黒方:江明庭(カンボジア)

結果:紅勝ち

1.炮二平五 馬8進7 2.馬二進三 卒7進1 

3.車一平二 車9平8 4.車二進六 馬2進3 

5.兵七進一 炮8平9 6.車二平三 炮9退1

7.馬八進七 炮9平7 8.車三平四 士4進5 

9.炮八平九 車1平2 10.車九平八 炮2進4 

11.兵五進一 卒7進1

「五九炮対平炮兌車」。炮2進4では馬7進8が多く、炮五進四、馬3進5、車四平五、炮7進5、馬三退五、卒7進1のような展開になるところです。炮2進4に対しては「どうするのだったか?」ということで、まずは直接の狙い、炮2平7を消すために兵五進一。ところが、これは紅の対応としてはあまりよくないものでした。黒の卒7進1が最善の対応で、黒にこう指されると、トンピンネットの実戦例では紅の1勝9敗2和。どう指せばよかったかというと、車四進二と出て、炮7平8、そこで兵五進一。炮が8路に戻ったので、7路からの強力な反撃がなくなります。納得。

12.兵五進一 卒7進1 13.馬三進五 卒7平6 

14.炮五平三 炮7進6 15.炮九平三 卒6平5 

16.車四平三 馬7退9 17.馬七進五 車8進4(図1) 

(図1)

炮7進8(相を取りながらのジャン)を許すと紅は苦しくなります。炮五平三は苦心の応手。ひとまず炮7進8を消し、馬を9路に追いやって、過河卒を払ったのはいいのですが…

馬一枚損してしまいました(苦笑)。

しかも中兵取られそう。何やってんの紅。私なんですけど。

18.馬五進四 炮2平7 19.車八進九 炮7進3 

20.士四進五 馬3退2 21.車三平五 車8平7 

22.炮三平五 炮7平8 23.帥五平四 炮8退8

24.車五平四 炮8進1

 馬一枚の損でも残った形しだいではどうにかなる、ということを所司先生相手に実証しちゃってますが、その時よりも相手の反撃が速く、かなり強力です。過河兵まで取られてはさすがに負けでしょう。馬五進四で過河兵を守りますが、車2進4とされるとかなり大変。車2平5と兵を取る手がジャンなのですが、このジャンの防ぎで士か相を上がると、今度は炮2平5がジャンとなって、次に車2進5で車を抜かれる。実戦は炮2平7から相を取ってのジャンを実現しますが、手損のない車交換で馬3退2と馬を下がらせ、車三平五と炮から逃げながら中卒を取って、被害を相一枚にとどめました。馬に続いて相まで損してしまいましたが、中路の過河兵が健在。逆転するのにこれだけでは材料が乏しいと思っていたところ、車8平7と炮取りです。炮三平五と逃げて中炮復活。

7路で炮と車が重なったので、車でジャンをかけるには炮7平8の一手が必要。こちらにも帥五平四の余裕が生じます。黒の馬は2枚ともすぐには前に出てこれないので、車7進5のジャンにも帥四進一でしばらくは大丈夫。馬を四路からうまいこと動かすことができれば、車五平四から車四進三!でいきなり倒すという狙いも生じます。黒は炮を引き、6路から縦の攻撃を狙います。ただ、車五平四(うまいこと四路に車が動きました)で炮8平6を防がれ、炮8進1を余儀なくされます。

25.兵五進一 車7進5 26.帥四進一 炮8平6(図2) 

(図2)

兵が進んで、これまた「うまいこと」馬四進六の道ができました。23回合の炮8退8は操作ミスか?とも思えますが、車五平四とさせて、こちらの車と馬を四路に釘付けにする狙いだったのかもしれません。確かに厳しい手に見えますが。

27.車四進一! 象7進5

中炮がいるので、ただで取れます。

これで馬一枚の損は解消。中炮、過河兵、車、馬に加え、帥まで攻撃を支援しています。黒は2枚の馬が中路に利かない場所にいるのが痛い。

28.車四進一 車7退5 29.馬四進六 馬2進1

一度は車を逃げながら、将5進1を消して、ついでに馬取り。(この段階ではもう、馬取りは「ついで」。)

30.兵五進一 将5平4 31.炮五平六 車7平4 

32.馬六進五 車4進3 33.士五進六 象3進5 

34.馬五退七 馬1退3 35.車四平七(紅勝)

(紅勝、最終局面)

炮五平六に将4平5でも、兵五進一、士6進5、車四平五で勝ち。車を取られては勝負あり、です。

炮2進4の変化に戸惑ったところもありましたが、相手のミスにも助けられて逆転することができました。私の兵五進一を見て「車四進二の方がいいと知らないのか」と油断したのかも。地力のある選手なら(それこそ兵五進一のところで車四進二などとして)もっとうまく対応できたはず。強敵相手の連戦で、6回戦でまだレベル9-2の選手と当たる羽目になるというハイレベルの大会でしたが、2勝4敗1和で終えることができました。


○おわりに

田中さん、評注棋譜を頂きありがとうございます!

今年も田中選手の国際大会でのご活躍を応援しています!

一緒に色々な大会に行きましょう~!!

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