シャンチー(象棋)の残局局面を紹介します!
今回紹介する局面は「兵と車の残局」です。
「兵と車の残局」を2回に分けて紹介して行く記事の前編になります!
皆さん是非お楽しみ下さい!^^
はじめに
今回紹介する残局は「趣味残局」と呼ばれるものです。「趣味残局」は実戦ではなかなか出ない、人為的に作られた残局の局面で、排局と近いものです。(排局と同じものと認識されることもあります)
「趣味残局」の局面は実戦で現れることはほぼありませんが、この中には、コマの動かす手順や殺法の使い方など、様々なシャンチーの知識が含まれています。
一般的には、実戦残局よりも、より多くの深いシャンチーの技術が含まれているので難易度がより高いとされています。
局面紹介
それでは早速局面を考えて行きたいと思います。
下記の局面は紅先です。
紅三兵と黒2車の残局です。
この局面は紅と黒、どちらかが勝つことが出来るのでしょうか、あるいは引き分けになるのでしょうか。
皆さん、是非この局面を一度ゆっくり考えてみてからこの先の記事をご覧下さい。
局面考察
はじめに、この局面が黒先だった場合の考察をしてみます。
黒は初手で車4進8と指し、下の図のようになります。
紅には黒の次の車3進9の手を解決する方法がなく、紅の負けです。
そのため、紅の初手は殺を狙う手(叫殺)しかありません。
【手順】
1.中兵平四 車3進9 2.帥五進一 車3平6
紅は中兵平四と指し、次に兵四進一の殺を狙います。黒は解決するためには、車3進9→車3平6の手順しかありません。
次に黒には車6退7で兵をとる手があります。紅は対応しなければいけません。
「パターン1」
3.兵四進一 車6退8 4.前兵平四 将6進1
このように進むと、ここまでで、黒車対紅兵で、黒の勝ちになります。そのため、紅は兵四進一の手を指すことは出来ません。
「パターン2」
3.後兵平四
後兵平四は一見妙手に見えます。
次に黒が車6退6と指すと、紅は兵五平四と指し、対面笑殺です。
しかし、ここでは黒にも妙手があります。
3.。。。 車4進8!
黒が車をすてた手は妙手です。
次に紅がもし帥五進一と指すと、車6平5帥五平四車5退8と進み、紅の兵の攻撃がなくなり、黒の勝ちです。
4.帥五平六 車6退6 5.兵四進一 車6退2
6.兵五平四 将6進1
ここまでで、引き分けの局面になりました。
つまり、パターン2の指し方では、紅は勝つことが出来ません。
「パターン3」
3.後兵進一 車4進6
紅の後兵進一の目的は、次に前兵平四将6平5兵五進一と殺を狙うことです。
そのため黒が車4進6と指し、車を移動させ、将の出口を作った手は唯一の選択です。(ここでは、車4進6でなく車4進5などと指してもかまいません。要するに、将が横に移動することが出来、4路の車で将来ジャンすることが出来れば問題ありません)
4.前兵平四 将6平5 5.兵五進一 将5平4
ここからの紅の攻め方はポイントです。紅が次にもしも前兵進一と指すと、(前兵平五の殺を狙います)黒は車4平5と指し勝つことが出来ます。
では、紅は勝つため、どのように攻撃して行くか見て行きます。
6.兵五進一 将4進1 7.前兵平五 将4進1
8.兵四平五
紅は帥の力を利用し、三兵で三度ジャンをして、見事に勝ちました。
○おわりに
皆さん、今回の残局はいかがでしたか?
お楽しみいただければ嬉しく思います(*´▽`*)
通常兵はシャンチーの中で一番弱いコマとされています。1つの車の価値が1としたら、兵は0.2ぐらいの価値(馬や炮が0.4-0.5)であると一般のシャンチーの入門書には紹介されています。つまり、5枚の兵の価値が1枚の車と同等となります。(実際はそれ以上に車には価値がある)
今回は3枚の兵で見事に2枚の車に勝ちました。このような局面を見ると、シャチ―の中での「コマの位置はコマの価値より重要」という観点を改めて考えることが出来ます。
つづきの記事もお楽しみに♪
コメント
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