趙鑫鑫選手の棋論(その1)

棋論・考察

はじめに

今回はシャンチー(象棋)特級大師の趙鑫鑫選手の文章の翻訳を記事にさせて頂きました。

趙鑫鑫選手は、「鑫棋道」と言うページでシャンチーについての様々な文章を書かれています。私は以前からそのページを読んでいて面白いなと感じていました。

そしてブログを開設したタイミングで、趙さんに「鑫棋道」のシャンチー知識のページで書いている文章を翻訳して、私のブログで紹介してもいいですか~?と尋ねてみたところ、「没问题!(問題ないよ!OK)」と三文字回答を頂きました!(やったー!)

と言うことで、その中からいくつかの内容をピックアップし(全て訳すと膨大過ぎて白髪が増えそうなので・・・)、記事にして行こうと思います。

今回はその第一号になります。

(ただ翻訳するだけでは感覚的に理解しづらい箇所は補足文を加えています。)

スピード感が重要

「進歩の速度」

シャンチー(象棋)を指す人はみんな自分の棋力を高めたいと思っています。それは愛好者の人もプロの棋士も同じです。

勉強方法の話をするとき、いつも3つの単語を出します。それは「棋譜を読む(勉強)」、「実戦」、「復盤」です。シャンチーの勉強方法としてこれはきっと正しいものです。しかし、この言葉はいつもみんなを満足させることが出来ません。なぜならこれは誰もが知っている正しいことで、それを私が言うのは意味のないことだからです。

私も知っています。現実のなかには本当に沢山の無駄な言葉があります。そしてそれらには何の学びもありません。 私は今日この誰もがナンセンスと思う回答に一つ薬草を加えてみることにします。そしてみんなが思うありきたりで無駄な回答を宝石に変えてみせます。

私の加える言葉は・・・

「速度の速さこそ、天下一の武術です!」

分かっています。私はちょっと難しい言い方をしていますね。

ただ、私が言いたいのは「進歩するのには、速さが重要」と言うことです。

進歩の過程

「復盤の重要性」

これはどんなに強調しても言い過ぎではありません。たくさん勉強して、たくさん指して、それでも何も吸収することが出来なければ骨折り損です。

では「進歩」とはどのような過程なのでしょうか。

それは止まらない勉強とそこから吸収し続ける過程です。

技術の本質に関して、ここでは多くを話しません。

もしも進歩の過程を目に見えるかたちにするのであれば、それは「螺旋状に循環したかたち」だと思います。「勉強」、「実戦」、「復盤」、それぞれが一つの螺旋状の中で循環し続けます。全てが一度循環すると、それは「進歩」として現れます。

全体図の理解

シャンチープレイヤーの成長の段階を考える時、このように話されます。

シャンチーの勉強を始める時、一つ一つの戦術を学びます。

そしてこの段階ではまだ局面の全体の理解は難しいでしょう。

戦術を十分に理解し、しっかりと練習します。それから盤面上の局部を一つ一つ理解し、それらを繋げることで局面の全体図を理解します。

(補足:例えば、局面のこの辺は自分のコマが狙われているので守らなければいけない、そしてこの辺はコマが遅れているので早く前に出さなければいけない、そしてまた自分の前にあるコマで殺法があるかどうか、等の局面全体図の中の一つ一つの局部を理解することで、その時の自分の手番で何を指さなければいけないのかが分かります。)

これが出来た時やっと全体図がはっきりしてきます。

この段階に入るとシャンチーを学ぶ第2ステージに入ります。

では全体図はなぜ重要になるのでしょうか。

シャンチーでは戦術を考える上で、盤上の全ての部分の理解が非常に重要になります。しっかりと全体を見ることでやっとどの部分が重要でどの部分が重要でないかが分かるのです。 だけどこのように言うと「ではある特定の部分への考えは必要ではないのか」と思われますが、そのように考えてしまうのは致命的な誤解です。

【まとめ】

私たちは盤面の全体図を判断するときに局面全体を構成する一つ一つの部分の重要性を知ります。そして最終的には勝利に向かって走り出します。それはやはり局面全体を構成するいくつかの局部を一つ一つ選び、突破して行くことなのです。

サッカーを例に出して考えてみましょう。

サッカーでバルセロナチームはとても強いです。そのチームを構成するチームメンバー一人ひとりがそれぞれ優秀な選手です。そしてその優秀な集団にメッシと言うとても強い選手が加わり、チームを引っ張って行くことで、そのチームはさらに強いチームになるのです。

(補足:シャンチーの全体図を構成する一つ一つの局部へのしっかりとした理解が、実戦での重要な一手を選ぶために必要になるのです。)

趙さんに質問

Q 趙さんの書いた「鑫棋道」のなかで、シャンチーの勉強には「棋譜を読む(勉強)」、「実戦」、「まとめ(総括)」の流れがあると書かれていました。実戦とその試合の分析で使う時間はどのような配分になると良いでしょうか。(また、復盤の意義についても教えて頂きました。)

A 分析の時間は対局時間より長くなります 。

復盤の意義はポイントになる箇所をいくつか見つけ、自分の局面に対して理解が不足している箇所を知り、その理解を補うことです。それにより進歩出来るのです。ただ指し間違えた箇所を知ることは、自分がなぜそのように指したのかと言う根底を理解したことにはなりません。それは完全ではありません。これが私の言う、復盤の時間が実際の対局よりも長くかかる理由です。

(補足:一手一手の分析ではなく、重要な局面でなぜその手(正しい手)が出なかったのかを理解することが重要です。例えばある局面で良い手があります。しかしその手を実戦で指さなかったとします。復盤の意義はなぜその手を指せなかったのかと言う根本を理解することにあります。思い浮かんだが計算したところ却下したのであれば、計算能力が不足しているのかもしれません。そもそも思い浮かばなかったのであれば思考の柔軟性の不足が問題かもしれません。このようにその手が出なかった根底の理由をしっかりと把握することが重要なのです。 )

【おわりに】

復盤の重要性や意義について、とても深い内容だなと思いました。最近少し復盤が雑な気がしていたので、心を入れ替えて頑張ろうと思います(´・ω・`)!!

コメント

  1. […] […]

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