“棋聚五洲”第1回世界シャンチー(象棋)インターネット棋王賽のハンガリー代表選手対田中篤選手の対局棋譜紹介評注入り(*’▽’)

実戦譜を見る

田中篤選手に“棋聚五洲”第1回世界シャンチー(象棋)インターネット棋王賽の棋譜評注第2弾を頂きました!

また、前回の記事では田中選手から問題が出題されていたので、その答えもご紹介させて頂きます(*’▽’)

○前回の記事

前回の答え

まずは気になる答えを紹介!

問題1 

この時どのように指しますか?と言う問題でした!

(答え)

兵四平五 炮6平5 

馬三退四 炮5平6 

馬四進六 炮6平7 

兵五平四 馬5退6 

兵四進一  

四路で炮架にできる駒が二つあるのがいいところで、まず馬を士角に持って行って将6平5を阻止。それから兵を四路に入れて進めれば絶殺になります。馬四進六に対して馬5退6なら詰みはありませんが、炮四進二と取ってこれも勝勢。


問題2 

試合開始1時間くらい前、田中さんは必ず「あること」をして対局に臨んだとのことで、それは何でしょう!と言う問題でした!(ちなみに私一押しの回答は←(?)歯磨きでしたが…全然違った…)

(答え)

「服を着替えた」です。自分の家なので上着ネクタイまではやりませんでしたが、普通に大会に行く時の服装にしました。上の階で着替えて下の階に降りて指す、これは国際試合と同じ(私室はたいてい上の階)。国際試合という意識で対局できました。  

歯磨きではない!と言うことです! (←しつこい(笑))

棋譜紹介

○はじめに

前回開設した5回戦を勝ち、2勝3敗として気持ちよく6回戦を迎えました。

このまま全部勝っちゃいたいくらいです。「次の相手は誰だ?どこの選手だ?」と、スマホに送られてきた対戦表のPDFファイルを開けてみると…

「は、ハンガリー…?」

謎なんですけど(笑)。

ヨーロッパ選手権には参加しているようですが、世界選手権には出てこない。当然私も指したことがない。作戦の立てようもありませんが、示された事実が一つだけ。「ここまで相手も2勝3敗である」。 決して侮ってはいけないが、必要以上に恐れることもない。どうやら平常心にはなれました。

そう言えば大会中に私もハンガリー???と思いました(笑)

確かに謎なレベル感…

ドイツやベラルーシはレベル感が分かりやすいのですが…


林慶生(ハンガリー) 紅先負 田中篤(日本)

1.炮二平五 馬8進7

2.兵三進一 車9平8  

卒7進1と突かせたくなかったんでしょうか?こっちが謎だと思ったように、向こうも「シャンチー指せる日本人がいるのか」レベルでこちらのことはかなり謎だったに違いありません。とはいえ、欧州にはこちらのことをよく知っている選手、私と複数回指した選手、痛い目にあった選手までいるわけで、「卒7進1、兵七進一の形、日本の選手はよく知ってるよ。進三兵で行ってごらん」と、事前にアドバイスがあったのかもしれません。

3.馬二進三 卒3進1

4.車一平二 馬2進3

5.炮八進四 象7進5

6.馬八進九 馬3進4  

馬八進七と正馬に進むことが多いですが、五八炮辺馬に進みます。

7.車九進一 炮2平4

8.炮八平三 炮8進4  

五八炮で紅左辺馬自体が正馬より少ないのですが、トンピンネットで検索すると、紅8回合まで同じに進んだ実戦例が一局だけ。紅はなんと、この大会でも王天一選手と激闘を演じた徐超選手。その一局では黒車1平2(結果は和)。

一方対局中の私は、過去の国際大会の折に「中炮進三兵、辺馬の形なら、黒は炮8進4と封車できれば勝負になるのでは?」という話を所司先生がされてたのを思い出しました。どれだけ効き目があるか試してみよう、と炮8進4。

9.車九平四 車1平2

10.車四進四 馬4退3  

馬が退却する羽目になります。こんな展開で大丈夫なのか?

11.兵三進一 車2進4

12.馬三進四 炮8平6  

三路の兵が河を渡り、馬三進四と跳ねて炮取り。炮8平6と車を打ちますが、実はかなりの苦し紛れ。ここから車二進九、馬7退8、と車交換して馬を下がらせ、炮五進四のジャンに士4進5、という進行を想定していました。紅は中央の圧力を維持しつつ辺馬を攻撃に参加させる、そうなる前に黒は中央で紅を押し返せるか、という展開になって難しい勝負。

ところが、紅の対応は…

13.馬四退二 炮6平9  

炮取り先手にはなっていますが、炮6平9で逃げられます。逃げられてみると、紅の馬は二路に釘づけ(動くと車8進9で車を抜かれる)。さらに、黒には強力な切り札が生じました。

14.兵七進一 卒3進1

15.車四平八 馬3進2  

紅から車の交換に来られましたが、こちらとしては大歓迎。中央の圧力が自然に減圧、残った車は二路で出遅れ、そして、過河卒が残る。楽観は禁物ですが、「これならやれるか?」といったところです。

16.炮三平四 車8進3

17.炮四平九 炮9平5(図1)  

(図1)

炮四平九で車取り。黙っていると車が取られるので、危機といえば危機。危機を脱するために使うのが切り札。使うならここだ、と、13回合で生じた切り札を使います。 炮9平5と中卒を取ってジャン。

18.士六進五 卒5進1  

炮架にさせられた卒を進めれば、紅に炮五進三と取られることもなく、今度はこちらが炮取り先手。中央の圧力をどうしようかと考えていたのに、逆にこちらが圧力をかける側です。

19.炮九退一 卒5進1

20.兵三平二 車8平1

21.炮九退一 卒3平4  

紅も何とか先手を取ろうとしますが、過河卒二枚がつながりました。

22.馬九退八 車1平3  

3路を開けた効果で、車1平3が殺。

23.相七進九 炮4平2  

紅から厳しい反撃がないので、後ろの炮も攻撃に参加です。

24.馬八進六 馬2進3

25.馬六進五 卒5進1

26.炮五平一 馬3進2  

こちらの中炮が馬との交換になりますが、卒5進1と取り返す手が紅の中炮に当たります。紅の炮を中路から追い払い、馬3進2で相の目をふさいで、仕上げにかかります。

27.車二進二 車3進6

28.士五退六 車3平4  

士五退六に馬2退4のジャンが狙いでしたが、車二進二はその防ぎ。代わりに車3平4とあっさり士を取ります。

29.帥五進一 炮2進2  

炮2平5のジャン、続く炮5平6の追撃、紅が防げないのを確認して炮2進2。

30.車二平四 炮2平5

31.帥五平四 車4退1

32.士四進五 車4平5(黒勝)

帥四退一としても炮5平6で、車が横に逃げても卒5平6。この炮5平6ですが、20回合で紅が兵三平二としたことによって可能となっています。  

前局と同じく、炮で中兵(卒)を取りながらのジャンで主導権を握ることができました。前局では炮八平五から炮五進四と、シンプルかつダイナミックに発進していきましたが、 本局は相手の手に乗じての炮6平9から炮9平5。12回合では全く想像しておらず、「どっから来たの?」という感触でした(笑)。


○おわりに

みなさん、今回の記事もお楽しみ頂けましたか?(*´▽`*)

ちなみに田中さんのクイズの2問目に正解された方…いますか~?笑

(とても普通だったのに全然思い浮かばなかったです…!歯磨きではない…)

田中さん、評注を頂きありがとうございます!

おわり

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