世界選手権インタビュー【可児宏暉選手に色々聞いてみました!】

インタビュー・対談

世界選手権出場選手へのインタビューをお届けします!!

今回は可児宏暉選手、また次回の記事で所司和晴選手のインタビュー記事を紹介予定です(*´▽`*)

皆さん是非ご覧ください!

可児さんにご興味のある方はこちらのインタビューも合わせてご覧ください♪

世界選手権の試合総括と感想

Q、総括と感想についてお聞かせ下さい!

A、今回が初めての世界選手権でしたが、様々なレベルのプレイヤーを相手に今の自分の実力を良くも悪くもしっかり出しきることができました。その点で非常に充実感があり、今後にもつながる有意義な大会になったと思います。

Q、参加する前の目標とその達成具合はどうでしょう?

A、今回が初参加ということもあり、一番の目標は世界選手権のレベル感、特に入賞圏内にいるようなトップ層のプレイヤーと今の自分との実力の差を体感することでした。これに関しては、事前にチェックしていた格上プレイヤーと2局対局することができ、ある程度達成できたかなと思います。

また具体的な成績に関しては、NCNV2位までが国際棋聯大師の称号をもらえると聞いていたので(実際は違いましたが)、2位以内(できれば1位)を取りたいなと思っていました。これは1位だったので達成することができました。

本来であれば3名以上のNCNV参加の場合は上位2名、6名以上の場合は上位3名が国際棋聯大師のタイトルを取ることが出来るのですが、今回は参加国が少なく対象外の大会となってしまいました。これは日本のみでなく海外の選手にも大きな影響を与えており、ネット上でも様々な議論がなされているようです。ちなみに中国国内のネット記事でも左文静大師が特級大師になった等の記事が出ていますが、こちらも参加国が少ない影響で特級大師ではなく大師のタイトルの獲得でした。

Q、印象に残った対局相手についてお聞かせ下さい!

A、王廓特級大師です。昨年の中国チャンピオンと60分+30秒で指せるのは非常に貴重な機会で、世界選手権に出場して良かったなと心から思いました。

日本チームは1R目に二人とも勝ちましたので2R目は両選手とも強い選手とあたる可能性があり、組み合わせを期待していたのですが、可児さんは本当にラッキーでここで王廓選手とあたりました!このラウンドでは所司先生も中国香港(団体3位)の鄭彦隆選手とあたりました!このラウンドでは日本は1台と3台と言う上位台での対局となりました!(他の国の方にも日本1台じゃん!と言われました!←2R目ですから!!と返事をしましたが…どちらも出だしが良くて良かったです!)

王廓選手と可児選手

Q、大会でのベストゲームは・・・?

A、最終ラウンドのブルネイの選手との対局です。最終順位を左右する非常に重要な一局でしたが、自分らしい攻撃的な内容で完勝できました。

この対局は後で棋譜を見た松野さんから「可児さん凶悪…」と言われていました…笑。本当に相手からするととてもしっかりやられた対局だろうな…と思いました(えーそっちから攻撃なの…の連続だっただろうな…と言う)!

Q、成績の満足度はどうでしょう?

A、今の自分の実力を考えると十分に満足できる成績だったと思いますし、反省点は多いですが今持っている力は出し切れたと思います。

横から見ていた感じでは可児さんは試合以外の時にもずっと平常心で安定しているな~と思いました!日本チームは対局会場に30分前入りしていたのですが、可児さんはガチガチに緊張している様子もありませんでしたし、ずっといつも通りの可児さんでした(*´▽`*)そう言う意味でもいつも通りの発揮が出来たのだろうな~と思いました!ちなみに対局前に可児さんがそわそわしていたのが1局あったのですが、手違いで「あなたたちはライブ中継台なので前に行ってね!」と言ったような紙が対局台に置いてあった時です…(笑)あれは手違いで本当に良かったです!ああいう予想外の緊張から試合の流れが変わってしまうこともあるので…

Q、最終日の快速トーナメントの感想をお聞かせ下さい!

A、ジュニアや女子選手など様々なプレイヤーと対局でき非常に面白かったです。内容面では、やはり時間がなくなった時の精度は本場のプレイヤーと自分とでは大きな差があるなと感じました。

可児さんは女子個人5位のベトナムの選手とあたっていたのですが…こういうバラエティーにとんだ相手との対局は確かに良い経験だな~と思いました。 可児さんと黎氏金鸞選手の対局はものすごい殺気につつまれた台でしたがその後も黎氏金鸞選手の対局台は殺気に満ちていました …!(これぞプロ!と言う雰囲気でした)ちなみに可児さんとベトナムのジュニアの女子選手との対局の勝ちはすごく達成感のありそうな対局でしたが、こう言った対局の経験はモチベーションにつながるだろうなと感じました…。そう言う点ではインちゃんは殺気ではなく強さが漂っている…!!と思いました。でもあれです…、大会でのベトナム対決(インちゃん対黎氏金鸞選手戦)は対局開始前からお互いの殺気を感じましたが…あれが勝負前の緊張感?なのかなと遠目から見ていました。

Q、世界選手権は今後も参加して行きたいと思いますか?

A、総合順位で入賞が狙える力がついたら、またチャレンジしたいと思います。

本来の基準であれば全体16位は国際棋聯大師の称号をもらえる素晴らしい順位です!今後も同じように16位をキープ出来れば安定した高い棋力として自信にもなりそうですし、是非またトライして頂きたいです!(^^)!

世界選手権のレベル感

Q、世界選手権へ参加する選手のレベルについて感じたことをお聞かせ下さい!

A、大雑把な体感だと、上位層、中位層、下位層と3つの層があり、割合的には4:5:1くらいの分布かなと思いました。またそれぞれの層の間の距離はかなり離れているように感じました。例えば今回私は順位的にも実力的にも中位層でしたが、14位くらいまでに入った選手たち(上位層)はみな私より3倍~5倍くらい強いだろうなと感じています。また下位層に属するのは数名で、こちらの選手たちの棋譜を見ると、明らかに実力不足なのが分かると思います。

確かに可児さんの書かれているような3つの層はすごく的を得ているように思います!上位層と中位層の間でも明確なレベル感の差がありましたが、そこにどこまでついて行けるか(良い試合が出来るか)と言う点が中位層にとっては重要そうです(順位的にも、勉強という点でも)。そして上位層の選手にとっても中位層は必ず倒さなければいけない層なので、上位層にもマークされるような中位層選手であることも世界選手権の中での存在感に影響を与えます。その意味では可児さんも所司先生も相手からすると気を抜けない相手でしっかりとマークして下さっていたと思うので位置付けはばっちりです!下位層の選手もまずは中位層に意識されるようになり、そこから中位層入りして行くことが求められます!

Q、NCNV 選手が今後国際大会を目指して勉強して行くにあたってのアドバイス等があればお聞かせ下さい!

A、今回の世界選手権からNCNVの表彰が一切なくなったこともあり、今後はNCNV選手ということを意識せず、一人のプレイヤーとして少しでも強くなろうとする姿勢が大事かなと思います。

そうですね。表彰がない中でも変わらずにシャンチーと向き合うためには上位層の選手が向き合っているような棋譜との向き合いが求めらるのかなと思います。NCNVが他と分けて考えられなくなったと言うのは世界もNCNV選手にそう言ったシャンチーとの向き合いを求めているのかな…とも思います。日本はこれまでNCNVプレーヤーとしては上位入賞国でしたが、今後も変わらずシャンチー界に残り続けるためには今まで以上の努力が求められそうです。

世界選手権への参加経験等について

Q、してきて良かったなと思う準備は?

A、大会前に持ち時間の長い対局を組んでもらい、数局天天象棋で指しました。これは本番の長い持ち時間でのリズムを掴む上で役に立ったと思っています。またそれ以外は普段通りに過ごし、特別世界選手権に向けて何かしたということはありませんでした。

Q、準備不足と感じたものは?

A、大会で全然研究したことの無い開局になった時は勉強不足を感じましたが、比較的少ない変化だったので、対局中はある程度仕方ないなと割り切って指していました。それ以外は特別準備不足を感じることはありませんでした。

そう言えば私は昔、ある対局で前ラウンドで自分が黒だった時に相手が指した変化と同じ開局に次のラウンド(自分紅)でなったことがあり、何だか緊張していたのか…元々自分が研究していた変化ではなく前ラウンドで相手に指された変化を指してしまったことがあるのですよね…(どんな)。当然全然知らない未知の変化なのですが、対局中に考えながら指している時にふと「何ではじめからこんなに難しいのかな~」と思って、はっ!となりました…(これ私が研究していた開局じゃない!と気付いた瞬間の絶望は今でも忘れない…)悲;世の中には研究した開局すら本番で指せない人もいるらしいです…(私)

Q、国内の大会と国際大会の違いについてお聞かせ下さい!

A、色々あると思いますが、1番は雰囲気だと思います。開会式の演出やチームユニフォームを着た各国・地域代表選手を見ると、否が応でも気持ちが高まり緊張します。

なるほど…!ユニフォームですね!個人的にはシンガポールのユニフォームのSINGAPOREと言う書体がいいな~と思っているのですが、今年は香港も新しいユニフォームでこちらもかっこよかったです!毎回色々なチームのユニフォームを見ていますが、ご飯中などで、新しいユニフォームのチームが来るとそれも多少話題になっているなと思います!その内ユニフォームデザイン賞とかが出来たりしないかな・・などと思ったりしています。(全然試合と方向性が異なりますが…笑)

Q、大会で力を最大限発揮するために必要なものはどのようなものでしょうか…?

A、十分な睡眠と対局に集中できる環境だと思います。前者に関しては過去の国際大会での経験を生かして意識的に早めに寝るようにしたことで、持ち時間の長い大会でしたが対局中眠くなり集中が途切れることは1度もありませんでした。また後者に関しては、リーダーの中村さんのサポートもあり、余分な心配などをせず対局だけに集中することができました。

試合中にいつも通り寝れると言うのは重要だと思います。他の選手でも夜遅くまで開局準備をしていたり等で寝不足ぎみだと言う方が多くいましたし、人によっては試合ギリギリまで準備するために朝ごはんを食べずに午前の試合に行く方もいました。それではやはり力不足だろうな~と思いました。

ちなみに集中できる環境と言うのもとても重要と思います。私も以前に監督兼選手などで参加していた時に、何だか他のことが色々気になってしまい全然力を発揮できないと言うことがありました(集中できていないと普通に指しているのですが何だか全ての手が軽いのですよね…ふわふわしていると言うか)。今回思ったのですが、監督と選手を別にするのは選手がパフォーマンスを発揮するためには重要そうだな…と思いました。

Q、試合中に行っていた大会準備などはありますか?

A、一応相手の棋譜は毎回調べていました。ただ踏み込んでしっかり研究するよりも、大体の傾向をつかんだらあとはリラックスして過ごすことが多かった気がします。色々なタイプの方がいると思いますが、私はギリギリまで調べて準備するよりも、ある程度ゆとりを持って臨むほうが自分には合っているのかなと今回の大会を通じて感じました。

確かに…可児さんは対局前本当に普通にリラックスしていました!よく考えるとこれって本当にすごいことだなと思います。誰とあたってもわりと普通にしていた可児さんが唯一対局相手をみて「ぇえ!」となっていたのは所司先生との組み合わせを見た時です…!もはや王廓選手とあたった時よりも反応がありました(笑)

⇒所司先生と可児さんの対局はこちら、王さんと可児さんの対局はこちら

Q、インターネットの大会と実際の大会の違いについてお聞かせ下さい。

A、目の前に相手がいるので緊張感が違いますし、対局中は局面以外に表情や雰囲気などからも感じ取れることがあります。総合してやはり実際の大会のほうが、充実感があり楽しいですし好きです。

やはり対面での対局は違うのですね!!私はここ最近運営よりなので国内でも対局しませんし…対面の環境を忘れつつあります。唯一今回シャンチーロボと指したのがコマに触れた対局だったのですが、それすらもネットとは違う緊張感があるな~と思いました!(ロボとの対局は横からの「勝ちなね」と言う圧力がすご過ぎてスゴイ緊張感でしたが…;;)コマに触れて、相手の雰囲気も感じながら指せるのはやはり充実感があるのですね!

大会環境について

Q、世界選手権の試合会場や宿泊施設などについてお聞かせ下さい!

A、宿泊施設と食事会場、試合会場がすべて同じ建物だったので非常に快適でした。特に不便はなかったです。

ホテルですが…実は日本チームが便利だったことには一つのラッキー要素もありました!それは同じチームで部屋が隣だったことです!(ついでに言うなら私にとって便利だったのは可児さんと所司先生の部屋のドアが若干壊れていてちゃんとしめないと扉が閉まらないため、いつも半空きでいつでも自由に行き来出来ました…←セキュリティーガバガバ疑惑…)このホテルは宿泊している階しかエレベーターの行き先階を押すことができないのでフロアがばらばらだととても不便なことになるのでそう言う意味で同じ階だったのは本当にあたりでした!(可児さんたちの部屋小さい虫がいたけど…)前は私一人だけ別階に飛ばされていたりしました;;悲…

Q、持って行って正解だったアイテムはありますか?

A、事前に「前回はクーラーの効きが強くて寒かった」と聞いていたので、ヒートテックを何枚か持っていきました。実際今回も大会会場は結構寒く、持っていって正解でした。

私がこれまでに出た大会一寒かった場所は、ここ…クチンでした!(マレーシアなのに…)可児さんが大会中寒さにやられなくて良かったです…(私は以前やられました(´;ω;`))ちなみに私が可児さんを見ていた中では事前準備(持ち物ではないですが)で一番価値があったものは間違いなくマレーシア入国アプリだったと思います。現地で受けたPCR検査の結果がなかなか出ずに「遅いね~もう飛行機じゃん…」などと言っていたところ入国時に全く使われなかった謎の入国アプリに結果が届いて反映されていて「おお!」となりました。あのアプリ…実はすごかったのですね…|д゚)

Q、選手目線で見た大会運営どうでしたか?

A、セキュリティーチェックなど不正防止のための対策がかなり厳格でしたが、昨今の情勢を考えると仕方ないことですし、特に不便には感じませんでした。大会運営に関しては全体的に円滑だったのではないかと思います。

世界選手権の運営についての様子も気にしながら見ていたのですが、今回はスタッフさんが本当に沢山いらっしゃいました!審判、賽務、セキュリーティースタッフと言った感じでわりと役割分担されていた感じです!これまでは運営に審判と賽務がいれば良かったのですが、今回からは+αでセキュリティースタッフが加わった感じです。求められるものが増えて行くので今後の大会運営は大変だな~と感じました;(そう言えば可児さんのテーブルに変な緑の虫がいたときに、セキュリティースタッフのお姉さんが虫を外に逃がしてあげていました…わりと日本以外の国の方は虫への耐性もあるのですね…)

大会期間中の他チームの選手との交流について

Q、大会期間中の交流等についてお聞かせ下さい!

A、対局後の復盤を他のチームの選手やコーチに見てもらう機会があり、非常に勉強になりました。

横で見ていて思ったのですが、やはりレベル感の高い選手と一緒に復盤をしてもらえると、局面ごとの方向性などで色々な方の見解を聞くことが出来るので参考になるな~と思いました。またたまに本当に難しいような局面になるとみんなじ~っと考えて何も言わない(言えない)ような場面になったりもします。そう言うまわりの反応なども見ていると「なるほど、ここは難しいところなのか」と感覚的にも理解することが出来るので良かったです。ソフトを使った検討とはまた違った奥深さがあるなと思いました!

Q、大会を通じて感じたことや思ったことなどがあればお聞かせ下さい!

A、他の国にはジュニアをはじめ若い選手が結構いたので、日本もそういった選手が出てくると活気づいていいなあと感じました。

Q、今回の日本チームはいかがでしたか?少数チームでしたが・・

A、人数的なことは分からないですが、練習対局をしたり一緒に検討したりして良いチームワークだったのではないかと思います。

確かに何だか雰囲気の良いチームだなと感じました!他チームは人数が多くてもわりと別行動をしていたりとあまり団体っぽくないところもあったので、その点では日本はまとまっていて穏やかな雰囲気のチームだな~と思いました!ちなみに日本はジュニアがいないのですが、ジュニアがいるチームはお父さんお母さんも一緒に来ていたりするのでより一層大所帯でビックチームみたくなっていました!日本もジュニア選手が欲しいですね^^

Q、大会期間中の面白いお話が聞きたいです!(え)

A、夕食の時に出会ったとても陽気なおばさんがシャンチーを凄く指したいとのことだったので、私と食後に対局することになりました。向こうの希望で5分+5秒の超快速戦をやったのですが、いざ対局が始まると鋭い手つきで好手をポンポン指してきて、私は何とか和に持ち込むのがやっとでした。想像以上の強さに対局中から「このおばさん一体何者なんだ?」と私の中では疑問符がいっぱい頭に浮かんでいたのですが、あとで昔中国の女子で全国3位に入った実力者だと分かり、非常に驚きました。

しかも交流会のはずなのに…可児さんの時間が少ないと言うことで全然引き分けしてくれないと言う…(笑)横で見ていて「随分厳しい交流会だね」と思って笑ってしまいました!可児さんは頑張った…笑|д゚)エ

アメリカ選手のお弟子さんと可児さんの交流会の様子

おわりに

Q、日本の皆さんにひと言お願いします!

A、今回からNCNVの表彰をなくすという大きな転換が行われたことで、今後日本人プレイヤーにとっての世界選手権の意義が今までとは大きく変わってくると思います。アジア選手権などと同様に本場のプレイヤーと同じ土俵で戦わないといけないためこれまでより大変になりますが、棋力向上の良い機会ととらえ一緒に切磋琢磨していければと思います。よろしくお願いします。

Q、みなさんへ

A、今回応援してくださった皆さん、ありがとうございました!

可児さん、大会お疲れ様でした!また16位、おめでとうございます!!

みなさん、最後まで読んで下さってありがとうございます!

次回は引き続き所司先生のインタビューを紹介しますのでお楽しみに♪

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