“棋聚五洲”第1回世界シャンチー(象棋)インターネット棋王賽の田中篤選手の棋譜評注(*´▽`*)

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シャンチー(象棋)仲間の田中篤選手に“棋聚五洲”第1回世界シャンチーインターネット棋王賽の棋譜評注を頂きました!

田中さん、ありがとうございます( *´艸`)

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はじめに

(この対局が指された時の大会の情況も紹介して下さいました!)

スイス式7回戦の中の5回戦。ここから後半戦に突入です。

4回戦まで1勝3敗と今一つな成績でしたが、4回戦は敗れたとはいえ力の入った内容で、こういう一局を指せるなら巻き返しも十分ありえる、という感触がありました。相手はベラルーシの選手。ベラルーシにはセルゲイさんという強豪がいますが、そのレベルに達している選手は今のところまだ現れていないようです。

とはいえ、チェスの下地はあるだろうし、2回戦で実際対戦した可児宏暉選手によると、「開局知っているというわけではなさそうですが、変な手はありませんでした。油断はできません」ということでした。今にして思えば的確な指摘でした。


私はチャット内でこのやり取りを見ていましたが…

確かに的確なアドバイスでした・・・(笑)

それでは、田中さんの評注をお楽しみ下さい(*’▽’)


評注

第1回世界網絡棋王賽預塞第5輪

紅方 田中篤

黒方 塞利亜兹尼奥(ベラルーシ)

(サリアジニワ、とでも読むんだろうか?女性名?)

結果 紅勝ち

1.炮二平五 炮8平5

2.馬二進三 馬8進7

3.車一平二 車9進1

4.馬八進七 馬2進3

5.兵三進一 車1進1

6.兵七進一 車9平4  

可児選手との対戦では、「向こうが紅で飛相局」ということでした。

穏健なのかと思っていたら、順手炮で来られて、紅両頭蛇対黒双横車に進んだのでちょっとびっくり。どの開局がどういう性質で、自分のやりたいシャンチーはどうで、自分に合っているのはどの開局か…探っている段階なのかもしれません。

7.車二進五 象3進1  

相七進九が多い局面ですが、少ないながら車二進五もあります。黒はここでも車4進5とすべき。以下、相七進九、車1平6、炮八進二、車6進7、と、実戦例は少ないながら難しい戦いが続きます。

8.馬三進四 象7進9

9.車二平六 卒3進1  

急ぎすぎの感があります。左の車も動かしてから戦うべきでした。

7回合で相七進九なら、黒車と交換になったりして戦いやすくなるのです。

10.車六進三 車1平4

11.兵七進一 象1進3  

黒の象の形が乱れていますが、紅も車の遅れ、四路の馬の弱さ、と、不満が残ります。

12.士六進五 馬3進4

13.馬四進三 馬4進3  

素直に馬四進六、車4進3では、紅の車の遅れが一層目立ちます。また黒は七路の馬を抑え込みました。 

14.馬三進五 象3退5

15.炮五平二 車4平8

16.炮二平四 馬7進6

17.相七進五 車8平4

18.炮四進一 車4平3

19.車九平七 馬6進4

20.炮四平七 車3進5

21.馬七退六 車3進3

22.相五退七 炮2平1  

馬4進2も警戒していましたが、炮八平六、馬2進3、炮六退一、炮2進6、士五進六、炮2平4、帥五進一(炮を取り返せる)で何とか耐えています。ただ、馬2進3、炮六退一となったところで、炮2平1から兵を落としていくような指され方をすると困っていたところですが…

23.馬六進五 炮1進4

24.兵五進一 炮1進3

25.士五退六 馬4進2  

こちらはともかく馬を交換して、できれば和を拾いたい。黒は攻勢を保ってきたので、リードを広げてできれば勝ちたい。馬4進2からはそういう意志が読み取れます。

国際試合で初めての相手と戦う時は、特に「相手の意志を感じ取ること」が大事になると思います。そんなことができるのか、と思われるかもしれませんが、一局の進行、相手が指してきた手の積み重ね、そこからある程度分かることもあります。

26.士四進五 馬2退3

27.馬五進七 卒1進1  

黒は馬を好位置に引いて、紅の馬を釘付けにして、悠々と卒1進1。しかし、ついに紅にも手番が来ました。窮屈だった馬はとりあえず前へ。炮は縦にも横にも自由に動ける。

28.馬七進六(図1)象9退7  

(図1)

初級者に対して、記述式の問題として聞いてみたいところです。馬七進六とした「最大の」理由。見かけは象取りなので、黒は象9退7と守りました。私としては「ああ、そういえば象取りにもなってたんだな」でしたが。象取りのために馬を跳ねたのではなく、黒の馬を縛って中兵を守る、こちらの方が大きい理由です。

それでも最大というわけではない。

最大の理由、それは…

29.炮八平五 士6進5  

「炮八平五として、次に炮五進四で中卒を取るため」でした。

ジャンを先受けして士6進5。

30.炮五進四 将5平6

将5平6とかわして、兵三進一を阻止。

31.炮五平四 卒1進1

32.兵三進一 卒1平2  

炮五平四で象の目をふさぎ、兵が河を渡るのを助けます。黒はどこかで臥槽馬を狙ってくるはずなので、その時帥五平四と逃げる、その前に炮四退四と引いて防ぐ、そういう守りも視野に入れています。

33.炮四退二 炮1退5  

いったん炮を引いて過河卒を打つ。炮1退5で馬を打たれ、兵も危ないようにも見えますが…

34.馬六進四 将6平5

35.馬四進三 将5平6

ジャンの連続で、あっという間に馬が臥槽に到達。炮四退二としたのも、実は馬六進四と進むため。

36.兵三平四 士5進6  

兵を寄ってジャン。これは取れない。

37.兵四進一 馬3進4  

馬も兵も取らせずに、殺がかかりました。馬3進5と守られる方が難しかったですが(後述)

38.炮四進一 将6進1

39.兵四進一 将6平5

40.馬三退四 卒2平3

41.兵四平五 将5退1  

兵四平五に相手は二分近く考え込みます。その間こちらも「将5進1と取れば馬四退六、ジャンで炮取り…」などと考えていましたが、この展開で進み、馬四退六に将5平6と逃げられた時、

何と!

炮四平九だと、馬4進3で黒の勝ち!(図2)

(図2)

いかんいかん、炮四退四と引こう、一応殺だし。と、相手の考え中に軌道修正。そして、実際相手に指された手に対しても、正解が出ていたのでした。これならわかりやすく詰む。

42.馬四進三 将5平6

43.兵五平四(紅勝)  

相手の勝ちたい意識に乗じて主導権を奪い返してからはそのまま勝ち切ることができましたが、前半落ち着いて指された主導権を握られたり、最後に読み抜けがあったりして、反省の多い一局でした。経験を積めば手ごわい相手になるでしょう。

田中さんから(*’▽’){問題

問題その1 

37回合で、黒が馬3進5と受けた場合。兵四進一とジャンをして、馬5退6では馬三退四と取られてしまいます。では、炮1平6(図3) と守ったら?

(図3)

(問題その1では黒が正しい対応をしてもコマ得、対応を間違えると殺になります!)

問題その2 

この大会期間中、「家で指すとはいえ、これは国際大会なのだ。このことを忘れてはいけない。」ということで、試合開始1時間くらい前、私は必ず「あること」をして対局に臨みました。実際の国際大会でも必ずすること、日常の生活の中でも、誰もがしているであろうこと。何をしたのでしょうか?  

答えは次局の評注で。

次の6回戦、単独でも面白いですが、この5回戦と比べてみると、さらに面白みが増すのじゃないか、ということで、書くことにしました。


○おわりに

田中さん、ありがとうございます!

問題2・・・・ う~ん?歯磨きとか…眼鏡拭くとか…ご飯たべるとか(←( ´゚д゚`)エー)…スマホの電源切るとか…?全然浮かびません!あれ~一緒に何度か大会に行っているのに…!!笑

答えを楽しみにしています!!

答えもですが、次の評注も楽しみにしています!!

(私は歯磨きが自然な答えだと思う…←)

コメント

  1. […] […]

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