田中篤選手に頂いた「カナダ・日本インターネットシャンチー(象棋)交流大会」の評注入り棋譜を紹介します!

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今回は田中篤選手に頂いた「カナダ・日本インターネットシャンチー(象棋)交流大会」の棋譜を紹介します!

田中さん、ありがとうございます(*^^*)

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はじめに

(ここから田中さんに頂いた文章です)

リアルの世界選手権・アジア選手権は男子・女子というカテゴリーが分かれていて、女子選手とは対戦する機会がないのですが、今回の交流戦ではカナダ側のメンバーに世界選手権女子代表の張穎茵選手が入っていて、なかなか指せない相手との対局が実現しました。


そう言えば先日行われた快速トーナメントで田中さんと麻生さんの対局で、今回紹介する棋譜の開局が使われていたそうです!田中さんにとっては評注を書いたホットな開局なので麻生さんも復盤では色々と教えて頂けて勉強になったのかな~と思いました(>_<)

棋譜紹介

6R 

日本 田中篤(紅先勝)カナダ 張穎茵

1.炮二平五 馬8進7 2.馬二進三 車9平8 

3.車一平二 炮8進4 4.兵三進一 炮2平5 

5.兵七進一 馬2進3 6.馬八進九 車1平2

7.車九平八 炮8平7 8.車二進九 馬7退8 

9.相三進一 車2進5  

左炮封車転半途列炮。紅の私は紅両頭蛇から左辺馬の指し慣れた形に進めますが、車九平八で相手の指し手が止まります。相手は経験の少ない形のようです。ノータイムで車2進5と来られるとかなり緊張しますが、指されたのは炮8平7。馬を抑えつけて相取りで、ない手ではないですが、こちらから車二進九と交換に出ても、炮7進3とは取りづらい形です。

(紅の馬は馬三進四と出ていけるのに、黒は馬7退8と引かされ、炮が底線で待っているのに応援がなかなか来ない。)

そこで、黒は炮7進3とせず、すぐに馬7退8と交換に応じました。こちらが手損というわけでもないので、これでも十分。ここで何を指すかですが、炮7進3と相を取る手が残っている以上、黒はそこからすぐに応援に行ける形を目指してくる可能性が大きいです。わかりやすい目標を残しておいては危険。相三進一で形は乱れますが、少し目標がぼやけます。

10.兵九進一 車2平3    

7回合で車2進5でも、兵九進一と指すところでした。その形と違っているところを確認してみます。まず、炮8平7で馬が抑え込まれ、相三進一と形を乱されたようですが、馬にはこの位置で中兵を守るという役目もあり、相は三兵に根をつけていて、車2平7と取られない。悪いことだけではなさそうです。二路で車交換があり、その結果黒の馬が最初の位置に戻っていて、その分反撃が緩やかになる。違いがいろいろ分かったところで、最初に戻ります。

7回合で車2進5とされた時とはいろいろ違う。車2平3には炮五退一、車2平7、相三進五と進むところだが、相三進一と上がっているのでこうはならない。違う対応が必要になる。

具体的には?

11.炮八進一 炮7平2  

悪いことだけではない、といっても、馬が抑え込まれているのはやはり気になりなす。いつでも前に行けるようにはしておいた方がよい。炮八進一で交換は必然。これで馬の道が開きました。車八進三と取り返すのにも大きな意味があります。車3進4と相が取られそうですが、馬を戻らされたのを気にしてか、馬8進7。相取られても頑張れると思っていたところへ、相を取らずに馬8進7、です。車八進三と炮を取り返せたことで、馬九進七と活用できるのです。

この後炮五平七と車を打って、どこへ逃げても馬七進八。馬が進んで3路の馬取り、と、先手を拡大することができます。車3平4から車4退3と馬を守りますが、車を自陣に引っ込めさせただけでも大満足。

12.車八進三 馬8進7 13.馬九進七 車3平4 

14.馬七進八 車4退3 15.士六進五 卒3進1  

黒はどう指すか困った、かもしれません。一息入れてよい、と思いました。こちらが有利と言っても、馬八進七のような手では炮5平3で相取り、しかも取ってくる手がジャン。炮で相を取ってくる手がジャンにならないように、士六進五と上がりました。

16.炮五平七(図1) 馬3進2

17.炮七進七 士4進5  

(図1)

卒3進1で馬交換を迫られます。馬八進七、炮5平3と取り返すことができれば少し好転ですが、こちらは15回合の時点でそのことに気づいています。こちらから馬を取ることはない。

相手に馬3進2と取らせた時、車八進二と取り返す前に炮七進七とジャンで相を取れるよう、炮五平七です。

18.車八進二 卒3進1 19.車八進四 炮5平6 

20.馬三進四 炮6平5  21.炮七退二 士5退4  

炮七平四と士を削る予定でしたが、黒には中炮が残っていて、炮5進4が気になりました。局面が進んで将5平4が可能になったりすると危険。そこで炮七退二から炮七平五と交換しました。

22.炮七平五 象7進5 23.相七進五 卒7進1 

24.兵三進一 象5進7  

兵・卒の交換が入り、局面が単純になってきました。限られた駒でどうやって勝ちまで持っていくか、というところですが、「馬も車も交換してしまえば時間はかかっても確実に勝ち」ということに気づきました。

25.車八退三 卒3進1 26.馬四進五 馬7進5 

27.車八平五 車4平5  28.車五進一 象7退5  

馬、車の交換が実現します。

29.兵一進一 卒3平4 30.兵五進一

(紅勝)  

ここで投了でした。

黒から兵を取る手段がなく、1路と9路、どちらの卒も黒は進めることができません。中兵を進めてゆっくり卒2枚を取り払えば、「三兵士相全対高卒単欠象」の局面になります。本当はこのコマ数は和の局面ですが、今回は相手が投了したため、紅の勝ちになりました。


終局後、張さんからグループチャットにお礼のメッセージがあったのですが… 「田先生謝謝(何かの絵文字)」。 いえ、あの、私、田中なのですが(笑)。

そうですね!このメッセージ…!私も読んで「田中さんが田さんになっちゃった!」みたいな感じでちょっと面白かったです。中国では一文字の名字が多いので「田 中篤さん」になっちゃったのですね!笑(そして、あえて誰も訂正しない…あのグループチャット…きっと今も田さんです…笑)

○最近の田中さん

(快速トーナメントに参加された時の写真、対局相手は所司先生)


○おわりに

みなさん棋譜はお楽しみいただけましたか?( *´艸`)

田中さん、いつもありがとうございます!

次回もまたよろしくお願いします!

おわり

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