(写真:団体優勝の中国チーム)
今回は杭州アジア大会団体戦の決勝戦の一局を紹介します。
紹介する棋譜は、中国の趙鑫鑫選手対ベトナムの頼理兄選手の一局です。
趙鑫鑫選手と頼理兄選手は中国・ベトナムそれぞれの国のトップ選手で、アジアの最高の栄耀のために熱く戦われた一局です!
皆さん、棋譜観賞を是非お楽しみ下さい(*´▽`*)
棋譜紹介
紅方:趙鑫鑫
黒方:頼理兄
結果:紅勝ち
1. 相三進五 炮8平5 2. 馬二進三 卒7進1
3. 車一平二 馬8進7 4. 馬八進七 車9平8
5. 兵七進一 炮2平3 6. 馬七進六 馬2進1
7. 車九平八 車1平2 8. 炮八進四 車8進6
開局は飛相局対中炮で、王道の展開です。第7回合では、一見紅の車と炮は根がなく、牽制されているようですが、紅は炮八進四で空間的な優勢をとっており十分な形です。
9. 仕四進五 炮5平4 10. 炮二平一 車8進3
第9回合の黒の炮5平4は正着です。ここで黒がもし車8平7と指すと、紅は炮二進四と指し、次に炮二平三で大優勢です。
11. 馬三退二 車2進1 12. 車八進二(図1) 炮4進2
第12回合の黒の炮4進2は穏健な指し方です。ここで、黒が車2平8と指すと、紅は馬二進四と指し、車8進7馬六進五馬7進5炮八平五車8平6車八平六車6退6炮五退二と進むと、黒はコマ得で、紅には攻勢がある、お互いに難しい局面になります。
13. 馬二進四 炮3平4 14. 馬六退四 車2平6
第14回合で黒の車2平6に対して、紅はちょうど馬四進二の受けがあります。ここでは黒は直接車2平8と指すのも良いようです。そのように進むとより攻撃性があります。
15. 馬四進二 馬1退3 16. 炮八進三 車6平8
17. 兵三進一 馬7進6(図2) 18. 車八進三 馬3進4
第18回合の紅の車八進三は鋭い手です。黒のコマが牽制されました。ここから、紅の優勢は確実なものになりました。
19. 炮一進四 馬6進7 20. 馬二進一 馬7退9
21. 兵一進一 車8進2 22. 馬四進三 象7進5
23. 馬三進四 後炮平6 24. 車八平六 車8平9
25. 兵一進一 車9平7 26. 車六進一 士6進5
この数回合で紅は複雑な戦いを避け、強制的な手段でコマを交換し、確実に多兵の優勢をとりに行きました。団体戦の決勝戦という慎重さが必要な重要な場合では、とても適切な戦略です。
27. 車六平七 炮6進4 28. 車七平九 車7進2
29. 炮八退六 車7進1 30. 炮八平四 車7平6
31. 車九平五 車6退2(図3) 32. 兵九進一 車6平9
第32回合で紅は一路の兵を放棄し、九路の兵を残しました。冷静な展開です。
ここで、もし兵一進一車6平1兵五進一車1進2兵五進一(車五退一車1退3と進むと黒は防衛することが出来ます)車1退2と進むと、紅の七路の兵が渡るために手間がかかります。このように進むと黒の引き分けの可能性も増します。
33. 兵五進一 車9平4 34. 車五退一 車4退1
35. 兵九進一 車4平2 36. 兵九平八 車2退1
37. 車五平六 象3進1 38. 兵五進一 象5退3
39. 兵五進一 象3進5 40. 兵五平六 象5退3
41. 兵六平七 車2平6 42. 兵八進一 将5平6
43. 後兵進一 将6平5 44. 前兵平六 将5平6
ここまでで、紅は三つの兵が河を渡りました。必勝残局になります。ここから紅の勝ち手順を鑑賞しましょう。
45. 兵七進一 将6平5 46. 車六平八 象3進5
47. 兵八進一 象1退3 48. 兵八進一 象5退7
49. 兵八平七 象3進5 50. 前兵平六 象7進9
51. 車八進四(図4)
ここまでで、黒は投了しました。
この一局の紅の見事な勝利により、中国は杭州アジア大会の団体の金メダルを獲得しました。歴史的な一局です!
次回も引き続き、杭州アジア大会の棋譜紹介を予定しています!
皆さん是非お楽しみに♪(^^)/
趙鑫鑫選手の棋論を紹介した記事です↓
お時間のある方は是非ご覧ください^^
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