第30届“五羊杯”全国象棋チャンピョン招待大会の棋譜紹介!

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第30届“五羊杯”全国象棋チャンピョン招待大会が開催され、鄭惟桐特級大師が優勝されました!

少し遅くなってしまいましたが、今回は“五羊杯”の棋譜紹介をします!

皆さん、是非お楽しみ下さい!


〇関連ページ↓

(こちらで動く棋譜が見れます)

半决赛战罢 洪智郑惟桐会师“五羊杯”决赛
第30届“五羊杯”全国象棋冠军邀请赛落幕 郑惟桐夺冠

はじめに

“五羊杯”は全国個人選手権で優勝経験のあるチャンピョンが招待されるトップレベルの大会です!

(ちなみに以前は碧桂園杯が開催されており、こちらもチャンピョンが招待される大会でしたが碧桂園杯はもう開催されないとのことです… 残念;;)

●試合について

(詳細要項中国語はこちら

開催期間:2023年2月1日~2月5日

開催場所:広東省広州市荔湾区広州文化公園

招待基準:中国個人選手権での優勝経験のある選手(男子)をレイティングの高い順で16名招待する。(参加棄権者がいればレイティング上位者から選手を補充)

持ち時間:60分+20秒、和だった場合は10分+10秒⇒紅6分+5秒と黒4分+5秒(和は黒の勝ち)の対局を行う。

●上位順位

優勝   鄭惟桐選手(四川)

準優勝  洪智選手(湖北)

3位   呂欽選手(広東)

4位   汪洋選手(湖北)

棋譜紹介

久しぶりの五羊杯が開催されました。五羊杯は全国チャンピオンが集まる最高レベルの大会です。今回の大会では鄭惟桐選手が見事に優勝されました。

優勝された鄭選手の対局の質はまさに「神」レベルです。本ブログでは2回に分けて鄭惟桐選手の今大会の棋譜を2局紹介させて頂きます。今回は予選戦での謝靖選手の1局を紹介します。

紅方:鄭惟桐

黒方:謝靖

結果:紅方勝ち

  1. 兵七進一  炮2平3    2. 炮二平五  象3進5

  3. 馬二進三  卒3進1    4. 相七進九  卒3進1

  5. 車一平二  卒3進1    6. 馬八進六  卒3進1

開局は流行している仙人指路対卒底炮です。第5回合で紅は卒をとらずにコマを出動させることを優先しました。黒の卒が敵陣に入ることによって、乱戦局面に入りました。

  7. 炮五進四  士6進5    8. 炮八進四  馬8進7

  9. 炮五平六  車9平8   10. 兵五進一  炮8進4

 11. 馬六進五  馬2進4   12. 兵五進一  卒7進1

第12回合で紅が馬で卒をとらずに、兵を進めた手はコマを早く前に進めるための手です。開局から紅には二度卒をとるチャンスがありましたが、紅は卒をとることはありませんでした。これはコマの出動速度を重視したためです。ここから、この一局で紅が積極的に攻撃して行く意思を持っていることが伝わってきます。

 13. 兵三進一  炮8退2   14. 兵五平六  車1平2

第13回合の黒の炮8退2は実際のところあまり効率が高くない手です。ここでは黒には車1平3の指し方があります。次に兵三進一象5進7と進むと、黒は次に炮3平5と中炮にしたついでに車が出ることが出来ます。

実戦では紅は第14回合で兵五平六と指しましたがこの手はあまり良くなかったようです。ここで紅が士四進五と指すと、局面は概ね均勢でした。

 15. 車九平八  炮8退1   16. 炮八進二(図1)  炮8平5

(図1)

第16回合で黒はチャンスを逃しました。ここで黒が馬7進8と指し、車二平一炮8平5仕四進五卒7進1と進むと、黒が優勢です。この変化からわかるように、第14回合の紅の兵五平六は良くない手だったようです。

 17. 仕四進五  車8進9   18. 馬三退二  卒7進1

 19. 帥五平四  卒7平6   20. 炮八平七  卒3平2

第19回合の黒の手は、紅の次の炮八平七の反撃に対して準備不足でした。紅は簡単に車と炮の牽制を解除することが出来ました。第19回合で黒は先に士5退6と指した方が良かったようです。

 21. 車八進二  車2平3   22. 炮七平九  卒6進1

 23. 馬五進七  馬4進3   24. 車八平三  炮3進3

 25. 相九進七  馬7進8   26. 車三進四  炮5平6

 27. 帥四平五  炮6退3   28. 馬二進三  車3進1

 29. 炮九進一  車3退1   30. 炮九退一  車3進1

 31. 炮九進一  車3退1   32. 炮九退一  馬3進1

 33. 炮九退三  卒1進1   34. 相三進五  車3進3

 35. 車三平一  卒6平7   36. 馬三進五  馬8進6

 37. 馬五進四  馬6進4   38. 馬四退三  馬4進3

第37回合で黒が穏健な馬6退4の手を指さず、馬6進4と指した手は攻撃意識を持った指し方で、黒の勝負心を伺うことが出来ます。

 39. 帥五平四  士5進6   40. 仕五進四  馬3退4

 41. 仕六進五  車3平2   42. 馬三進五  馬4進5

 43. 炮六平五  士4進5   44. 馬五進六  馬5退7

 45. 帥四平五  車2進6   46. 帥五進一(図2)  車2平4

(図2)

第46回合の黒の車2平4はこの一局の敗着です。ここで黒は将5平4と指した方が良かったようです。次に紅がもし馬六進七と指し黒が車2退8と指すと、黒が十分な局面です。

 47. 馬六進七  将5平4   48. 炮五平六  車4平6

第48回合の紅の炮五平六は素晴らしい妙手です。次に黒がもしも車4退5と指すと、紅は馬七退八と指し、殺を狙いながら車をとることが出来ます。

 49. 炮六平九  士5進4   50. 車一平六  士6退5

 51. 車六平三(図3)

(図3)

最後の数回合で紅は教科書のような頓挫の技を使いました。第51回合で紅には次に炮九平六の殺と車三退四の馬取りの2つの先手があります。

ここまでで、黒は投了しました。


〇おわりに

この一局で紅は攻撃意識を持った乱戦の開局を選びました。第16回合で黒は優勢をとるチャンスがありましたが逃してしまいました。その後、両選手ともに積極的に指し、複雑な中局の戦いを進みましたが、局面は大体均勢に進みました。しかし、第46回合で黒にミスが出ました。その後、紅は見事な妙手と入局手段できれいに勝利しました。

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