シャンチー(象棋)アジア選手権棋譜紹介【呉宗翰選手対李少庚選手】

実戦譜を見る

シャンチー(象棋)アジア選手権の棋譜を紹介させて頂きます!

今回紹介する棋譜はシンガポールの呉宗翰選手と中国の李少庚選手の一局です!

皆さん、是非お楽しみ下さい^^


こちらもアジア選手権の棋譜紹介のページです!

お時間のある方は是非ご覧ください♪

棋譜紹介

今回紹介する棋譜はアジア団体戦の男子組の一局です。国際大会で海外選手が中国選手に勝つことは珍しいことですが、今年のアジア選手権ではシンガポールの呉宗翰選手が見事に中国選手に勝たれました。では、この素晴らしい対局を鑑賞しましょう!

紅方:呉宗翰

黒方:李少庚

結果:紅勝ち

  1. 炮二平五  馬8進7    2. 兵三進一  車9平8

  3. 馬二進三  炮8平9    4. 馬八進七  卒3進1

開局は中炮進三兵対三歩虎です。第2回合で紅が先に三兵を進めた手に対して、黒が三歩虎にする展開は常用される戦略の一つです。

  5. 炮八進四  馬2進3    6. 車一進一  車8進4

第6回合の紅の車一進一は積極的な指し方です。その他では紅が炮八平七と指し、車1平2車九平八象3進5車八進六と進む手もよく指される変化です。この変化は本譜よりも穏健です。

  7. 炮八平三  象7進5    8. 車九平八  車1平2

  9. 車八進六  炮2平1   10. 車八平七  車2進2

 11. 車一平四  士6進5   12. 兵五進一  卒9進1

 13. 車四進五  炮9進1   14. 炮三退一  車8進2(図1)

 15. 兵五進一  卒5進1   16. 車四平一  馬7進9

(図1)

第15回合で紅は兵をすてました。そして、第16回合で紅は一つの車と黒の馬・炮の交換をしました。これはとても強気な指し方です。ちなみに、黒はここまでの対応で、とくに間違った手指していることはありません。また、一般的には馬炮と車の交換では馬炮側が得と認識されます。そのため、ここまでで、黒は悪くないように見えますが…。(実戦を見て行きます!)

 17. 車七平一  車8退6   18. 炮三進二  卒5進1

第17回合の黒の車8退6は必要な一手です。このように指さずに、紅が車一進三と指し、士5退6炮三進四と進むと攻勢がとても強いです。

 19. 馬三進五  車2進3   20. 炮三平七(図2)  卒5進1

(図2)

第19回合の紅の馬三進五は驚天の妙手です!

次に黒がもし卒5進1と指し、馬七進五と進むと、一見紅はコマ損ですが、黒の8路の車や右側の車馬炮は全て動くことが出来ません。次に紅には馬五進四→馬四進六のような攻撃ルートがあり、紅が主導権を握ることが出来ます。

第20回合の黒の卒5進1はこの一局のポイントです。

この局面を見た皆さんは今の局面をどのように認識しているでしょうか。

黒は卒5進1により、コマをとり戻して、そして(第19回合で卒5進1と比べると)右側の車炮も自由に動くことが出来ます。一見対抗することが出来ますが、実際のところ、やはり紅中炮盤頭馬の攻撃が強いです。

ここでの黒の最も穏健な指し方は車8進4です。次に兵七進一車2進1炮五進二車8平5炮五平四炮1進4炮四退一車5進2!と進むと、黒はコマをとり戻し、引き分けの形勢です。

 21. 馬七進五  車2平6   22. 馬五進六  車6退1

第21回合での黒のねばり強い手は車8進4です。次に車一進三士5退6馬五進六士4進5と進むと、黒はやはり不利ですが、2つの車はまだ守りで頑張ることが出来ます。

 23. 馬六進四  将5平6   24. 仕六進五  炮1平2

 25. 炮五平四  士5進6   26. 兵三進一  車6進2

 27. 馬四退五  象5進7   28. 馬五進六  炮2進3

 29. 兵七進一  炮2進1   30. 馬六進四  炮2平5

 31. 帥五平六  炮5退4   32. 馬四退五  車6平2

 33. 車一平四  将6平5   34. 馬五進四  将5進1

 35. 車四平六  車2退5   36. 炮四平五(図3)

(図3)

ここまでの十数回合では紅は一方的な攻めで展開し、黒は反撃することなく守り続けました。しかし第36回合までで、黒の防衛線はすでにボロボロで、守り切ることが出来ない状態です。(例えば次に将5平6と指し馬四退三炮5平6車六平四士4進5炮五平四と進むと、黒の炮は助けられません)

ここで、黒は投了しました。


○おわり

この一局では、紅の開局での車と2つコマの交換はとても勇気がある手です。そして、黒の卒5進1に対して、紅の馬三進五は妙手です。その後、黒はコマをとり戻しましたが、主導権を紅に譲ることになりました。紅は一気に攻撃に進み、黒は抵抗することが出来ませんでした。紅にとっては、完璧に攻めきった一局です。

ちなみに・・・

この一局は試合会場前で柳大華先生が大盤解説された一局です!

今年のアジア選手権は試合会場にずっと柳先生がいらっしゃり沢山教えて頂くことが出来、本当に素晴らしい試合期間でした!^^あんなに豪華な大会はなかなかありません(*´▽`*)

コメント

タイトルとURLをコピーしました